「アニメ」「声優」サブカルで若者を引きつける

「若年層開拓」で遅れを取る証券大手、PR手段を工夫

 証券大手が、若年層開拓のため『アニメ』や『声優』などサブカルチャーとコラボレーションした自社PRに取り組んでいる。マイナス金利の導入もあり、若者の間では預金一本の資産構成を見直す動きも出始めているが、銀行やネット証券に比べて対面証券はやや敷居が高い。野村証券とみずほ証券は、サブカルなキャラクターやコンテンツの親しみやすさを生かし、自社の知名度向上につなげている。

 2月13日、「NISA(少額投資非課税制度)の日」の語呂合わせに乗り、証券各社は都内でイベントを開いた。前日の日経平均株価が終値1万5000円割れとなる荒れたタイミングだったが、どのイベントも多数の参加者を集め盛況だった。

 みずほ証券がスポンサーを務めるラジオ番組の公開録音が、都内で初めて開催。声優の浅野真澄さんと『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の作者である山田真哉さんがパーソナリティーを務める同番組に、20、30代を中心とするリスナー約130人が集まった。

 会場の隣の部屋には、みずほ証券の投資相談コーナーも設置。パーソナリティー目当てで来る来場者が大半なため「証券会社のブースにはそれほど来場者が来ないのでは」と思われたが、公開録音終了後には相談を待つ長蛇の列ができた。急きょブースを増設して対応するほどだった。

 来場した20代の女性は「声優のファンで番組を聴き始めたが、今は投資にも興味がある。もう少し勉強したらみずほ証券でNISA口座を作ってみたい」と語っていた。

 野村証券は、京王新宿店(東京都新宿区)で、アニメ『秘密結社鷹の爪』とコラボしたNISAイベントを開いた。同アニメのキャラクターである”吉田くん“が登場し、参加者と一緒に記念撮影。同店は駅構内で人通りが多いこともあり、子供連れや学生が続々と歩みを止め吉田くんと写真を撮影した。こちらも待ち行列ができる盛況ぶり。同日開いたNISA入門セミナーも「普段のセミナーと違い、30代の参加者が多い印象だった」(野村証券)という。

 顧客の高齢化は対面証券共通の課題だ。対面コンサルティングや投資アドバイスを求める顧客は富裕な高齢層が多く、投資余力の少ない若者は手数料の安さもあってネット証券に向かいがち。だが今後は、相続により高齢層から若年層への資産移転が加速するため、若年層の取り込みは証券各社の必達目標となっている。

 一昔前ならテレビで大々的にCMすることが最良のPR手段だったが、テレビ離れが進む若年層にアピールするには、より絞り込んだエリアに強くアピールすることが効果的。その方法の一つとして、サブカルとのコラボは増えて行きそうだ。
(文=鳥羽田継之)

日刊工業新聞2016年2月17日金融面
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日刊工業新聞 記者

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02月18日
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サブカルを愛するオタク層は、実は投資と相性が良い。アニメやアイドルに入れ込む集中力は企業分析をする原動力となり、好きな作品のグッズを爆買いする資金力は、十分な投資余力となりうる。同じ金融業界でも、クレジットカードなどはすでに、アニメ、アイドルとのコラボが花盛りだ。「アイドルのグッズがもらえるから○○証券で口座を作る」近い将来、そんな時代が来るかもしれない。
(日刊工業新聞社編集局経済部・鳥羽田継之)

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