グーグルとJ&Jが新会社設立、賢い手術支援ロボット開発へ
「ダ・ヴィンチ」プロトタイプ開発のSRIも、次世代ロボット技術を供与
グーグル持ち株会社のアルファベット傘下で生命科学研究を行う米ベリリー(Verily、旧グーグルライフサイエンス)と、医薬・医療機器大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)グループで医療機器などを手がける米エチコン(Ethicon)が、手術支援ロボットを開発するスタートアップを共同で設立した。新会社のバーブ・サージカル(Verb Surgical)では、グーグルの持つ機械学習や画像処理技術、データ解析などの先進的なIT手法を活用し、低コストのスマート手術ロボットについて技術基盤を確立する計画だ。
これに加え、非営利研究機関のSRIインターナショナルが、新会社に対し、SRIの次世代ロボット技術をライセンスするとブログで公表した。SRIは1980年代、前身となるスタンフォード研究所(Stanford Research Institute)で米陸軍との契約に基づき、手術支援ロボットとして世界的に有名な「ダ・ヴィンチ」のプロトタイプを開発している(現在は米インテュイティブサージカルが製造販売)。こうした関係からか、SRI出身のパブロ・ガルシア・キルロイ氏がバーブの研究技術担当副社長に就任。同氏はSRIに20年以上勤務し、ロボットや医療機器の開発プロジェクトに関わった経験がある。
また、SRIの公式ブログでは明示していないが、IEEスペクトラムでは、SRIが提供する次世代ロボット技術について、SRIの「トーラス(Taurus)II」に搭載されているものが中心になると推測している。トーラスはもともと、爆弾処理用に開発した遠隔操作ロボット。家庭用ゲーム機に使うような棒状のコントローラーで操作し、つかんだ物体をピンセットのような指先で器用に扱える左右2本のマニピュレーターと、二つのカメラによる高精細立体視、さらに力覚フィードバック機能まで備える。IEEEスペクトラムによれば、こうした機能は手術支援ロボットにも十分役にたつという。
新会社は、グーグルの本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューに置く。手術支援ロボットでのグーグルとJ&Jの提携は今年3月に発表していたが、バーブのウェブサイトによれば、新会社は8月に設立した。ベリリー、エチコンとも新会社に出資するものの、財務面での詳細は公開していない。ベリリーの広報担当者によれば、すでに新会社で働く100人以上の人材が採用され、さらに増える見通しだとWIREDが報じている。
一方、ベリリーはグーグルの持ち株会社設置をはじめとする再編に伴い、グーグルXの生命科学およびヘルスケア研究部門を10月にグーグルライフサイエンスとして独立、12月7日にベリリーに社名変更した。ちなみに社名のVerilyは、シェイクスピアの作品などに出てくる古い英語で、「本当に」という意味を持つ。
グーグルX時代からのプロジェクトとして、ベリリーは次のような研究開発プロジェクトにかかわっている。
-涙の成分から血糖値を常時モニターするスマートコンタクトレンズ(スイスのノバルティスと連携)
-パーキンソン病などで手が震える人のために、手に持ったスプーン自体の揺れを抑えるスマートスプーン
-分子生物学的に人間が健康であることを定義づける基礎研究
-体内で特定のバイオマーカー(病状の指標となる血中たんぱく質)に結合し、早期がんや心臓発作の予兆といった病気の発生を検知する飲み薬タイプのナノ粒子
-医薬品などの臨床試験対象者に装着し、健康状態をモニターするリストバンド
ベリリーのアンドリュー・コンラッドCEOは、「バーブは我々がパートナーと設立した初の会社であり、今後も製薬、バイオテック、医療機器、診断会社、患者支援団体、大学の研究者などと緊密に協力していきたい」とWIREDに話し、企業などと幅広く提携して研究開発成果の事業化を進めていく方針でいる。
これに加え、非営利研究機関のSRIインターナショナルが、新会社に対し、SRIの次世代ロボット技術をライセンスするとブログで公表した。SRIは1980年代、前身となるスタンフォード研究所(Stanford Research Institute)で米陸軍との契約に基づき、手術支援ロボットとして世界的に有名な「ダ・ヴィンチ」のプロトタイプを開発している(現在は米インテュイティブサージカルが製造販売)。こうした関係からか、SRI出身のパブロ・ガルシア・キルロイ氏がバーブの研究技術担当副社長に就任。同氏はSRIに20年以上勤務し、ロボットや医療機器の開発プロジェクトに関わった経験がある。
また、SRIの公式ブログでは明示していないが、IEEスペクトラムでは、SRIが提供する次世代ロボット技術について、SRIの「トーラス(Taurus)II」に搭載されているものが中心になると推測している。トーラスはもともと、爆弾処理用に開発した遠隔操作ロボット。家庭用ゲーム機に使うような棒状のコントローラーで操作し、つかんだ物体をピンセットのような指先で器用に扱える左右2本のマニピュレーターと、二つのカメラによる高精細立体視、さらに力覚フィードバック機能まで備える。IEEEスペクトラムによれば、こうした機能は手術支援ロボットにも十分役にたつという。
新会社は、グーグルの本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューに置く。手術支援ロボットでのグーグルとJ&Jの提携は今年3月に発表していたが、バーブのウェブサイトによれば、新会社は8月に設立した。ベリリー、エチコンとも新会社に出資するものの、財務面での詳細は公開していない。ベリリーの広報担当者によれば、すでに新会社で働く100人以上の人材が採用され、さらに増える見通しだとWIREDが報じている。
一方、ベリリーはグーグルの持ち株会社設置をはじめとする再編に伴い、グーグルXの生命科学およびヘルスケア研究部門を10月にグーグルライフサイエンスとして独立、12月7日にベリリーに社名変更した。ちなみに社名のVerilyは、シェイクスピアの作品などに出てくる古い英語で、「本当に」という意味を持つ。
グーグルX時代からのプロジェクトとして、ベリリーは次のような研究開発プロジェクトにかかわっている。
-涙の成分から血糖値を常時モニターするスマートコンタクトレンズ(スイスのノバルティスと連携)
-パーキンソン病などで手が震える人のために、手に持ったスプーン自体の揺れを抑えるスマートスプーン
-分子生物学的に人間が健康であることを定義づける基礎研究
-体内で特定のバイオマーカー(病状の指標となる血中たんぱく質)に結合し、早期がんや心臓発作の予兆といった病気の発生を検知する飲み薬タイプのナノ粒子
-医薬品などの臨床試験対象者に装着し、健康状態をモニターするリストバンド
ベリリーのアンドリュー・コンラッドCEOは、「バーブは我々がパートナーと設立した初の会社であり、今後も製薬、バイオテック、医療機器、診断会社、患者支援団体、大学の研究者などと緊密に協力していきたい」とWIREDに話し、企業などと幅広く提携して研究開発成果の事業化を進めていく方針でいる。
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