ニュースイッチ

ファミマ、ココストアを買収。セブンの“全国制覇”にも影響?

コンビニ業界合従連衡進む
ファミマ、ココストアを買収。セブンの“全国制覇”にも影響?

ココストアの買収でファミマは中部地区を拡充

 ファミリーマートは8日、コンビニエンスストア「ココストア」「エブリワン」を経営するココストア(名古屋市中区)を、10月1日付けで完全子会社化すると発表した。ココストアの親会社である盛田エンタプライズから、130億円で株式を買収する。既存の「ココストア」などの店舗名や商品などについても、約1年かけてファミリーマートブランドに一本化する。

 ファミマは国内で約1万1000店舗、ココストアは東海地方などで約650店舗を運営している。ファミマはココストアの買収により、中部地方などでの店舗基盤を強化するとともに、仕入れや物流を統合し、効率化を図る。

 ファミマは2009年にエーエム・ピーエム・ジャパンを買収するなど、市場シェア拡大のためのM&A(合併・買収)を進めており、ユニーグループ・ホールディングス(GHD)とも16年9月をめどに経営統合する予定で交渉している。

 ユニーGHD傘下のサークルKサンクスは7月末時点で、コンビニエンスストア「サークルK」「サンクス」を計6334店舗運営している。最大手のセブン―イレブン・ジャパンの店舗数は約1万8000で、ファミマとユニーGHDの統合が実現した際には、セブン―イレブン・ジャパンに匹敵する最大規模のコンビニエンスストアチェーンとなる。

 ココストアとココストアの東西子会社は、ミニストップと資本業務提携していたが、8月15日付で解消した。ローソンは8月末に、神奈川県が地盤のスリーエフと資本業務提携に向けた協議を始めており、競争激化のなかで、生き残りに向けたコンビニ業界の再編が加速している。

セブン、沖縄進出の選択肢の一つが消える


 セブン―イレブン・ジャパンの沖縄進出の時期が業界で取りざたされている。同社は2015年、未進出県の青森県に出店。鳥取県も年内出店を表明し、46都道府県が埋まる。しかし、最後の最後に残った沖縄県については、いまだセブン―イレブン側のアナウンスがない。15年中にも一気に全国制覇との観測もあったが、その見方も今は鳴りを潜める。

 「まったくの白紙状態だ」。あるセブン―イレブンの幹部は沖縄出店についてこう話す。同社は数年前から沖縄進出に向け水面下で動き、物流網構築のための準備や物件などを探していた。同県内では早ければ15年中との見方が有力だった。
 こうした中でのセブン―イレブンの幹部が「白紙」という表現に対し、ある業界関係者は「沖縄進出のための有力な選択肢が、一つ消えたからではないか」とみる。というのも、セブン―イレブンの沖縄進出にあたって、地元で有力視されていたのが「ココストアの買収」だったからだ。

 ココストアは沖縄本島、離島を含め100店超を展開し、ドミナント(地域集中出店)を形成している。その店舗網は魅力的で、14年頃から業界ではココストアの身売り説が浮上していた。事実、ココストアの親会社は3月にココストアの売却を発表。沖縄県内では「てっきり、セブン―イレブンが取得するものとみていた」(ある中堅企業)が、優先交渉権を獲得したのはファミリーマートだった。

 ファミマはココストアと交渉を進め、8日に買収を正式発表した。ファミリーマートは沖縄県内に250店超と最大の店舗数を持っている。そのため、ファミマによるココストア買収は「沖縄の商権防衛的な意味合いが強かったのでないか」(業界関係者)という。

 それにしてもなぜ業界最大手のセブン―イレブンを選択しなかったのか。ココストアの親会社は仲介者を通じセブン―イレブン、ローソン、ファミマの大手各社に提案したとされる。条件が折り合わなかったか、思惑の違いか、真相は不明だ。いずれにせよセブン―イレブンはココストア買収による進出の道は閉ざされた。

 セブン―イレブンは新たな地区への進出にあたっては、専用工場の確保や物流体制の整備など万全の体制を作り、ドミナント(地域支配)体制を築くのが常。しかし、陸続きの本州なら県境を越えて工場の融通も利くが、島である沖縄で一定の店舗数がない段階から工場を持ったり、物流拠点を持ったりするリスクは小さくない。

 すでに沖縄にはファミマ、ローソン、ココストアの3チェーンで計500店超店舗が展開しており、今後コンビニの新規出店の適地はそれほど多くないといわれる。現地流通業と提携しているローソンでも年10店以内の出店ペース。仮にセブン―イレブンが独自の店舗網を築こうとすれば時間がかる。

 それでも残された道は1店1店手堅く出店するか、既存2社のフランチャイジーを切り崩すといった方法しか沖縄攻略の道はなさそうだが、どういった方法をとるか。進出のXデーはいつか、どのような手法をとるか、関心が集まっている。
2015年09月09日3&建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ファミマがココストアを買収し、いよいよコンビニの合従連衡の最終局面を迎えます。中堅コンビニがどう身の振り方をするかが焦点です。 しかし、ファミマのココストア買収に伴い、思わぬところにも影響が出そうです。それはセブンのまだ具体的な出店を表明していない最後の県、沖縄への上陸です。ココストアは沖縄県に100店超も店舗がありますから、セブンとしては買収対象としてやFC店の転換先としても魅力的だったとみられます。今後セブンは沖縄攻略に向けどう動くか。それも業界の関心事ではあります。

編集部のおすすめ