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「ロボコップ」導入に熱心なドバイ警察、今度は自動運転の小型無人パトカー購入へ

顔や車のナンバープレートを認識、ドローンで容疑者追跡も
「ロボコップ」導入に熱心なドバイ警察、今度は自動運転の小型無人パトカー購入へ

オトソーの警備用自動運転車「O-R3」と付属のドローン(同社のウェブサイトから)

 ハイテク活用に熱心な中東・ドバイのドバイ警察が、今度は自動運転の小型無人パトロールカーを年内に導入し、市内の警備や犯罪捜査に役立てることになった。ドバイ警察ではこれに先立つ5月、車輪で移動する人型のロボット警察官も公開している。近い将来、中東屈指の都市国家の治安維持は、これら「ロボコップ」がその一部を担うことになりそうだ。

 自動運転パトカーの導入に向け、ドバイ警察が6月21日に覚書を交わした相手は、シンガポールのオトソー・デジタル(Otsaw Digital)。同社が開発する「O-R3」は、高精細カメラ、2D/3Dのレーザースキャナー、赤外線カメラ、超音波センサー、GPS、長距離データ送信機などを装備。周囲360度の監視が行え、障害物を避けながら自律運転で走行できる。オトソーによれば、ドバイがO-R3の運用される世界初の都市になるという。

 さらに、この車両は顔認識や車のナンバープレートを読み取る機能も備え、指名手配中の犯罪者や法律を破ったと見られる人物、不審なモノなどを屋外で発見するのに役立てられる。必要に応じて車体後部からドローンを発進させ、カメラ映像を見ながら不審人物や不審車両の空からの探索・追跡も可能だ。

 このほか、バッテリーの残存量が少なくなると自ら充電する機能を持ち、1日24時間、365日の稼働にも対応。ドバイ警察の司令室とリアルタイムでつながれ、カメラの映像を司令室からモニターしたり、遠隔操作したりもできる。

 ドバイは「スマート・ドバイ・イニシアチブ」というスマートシティー構想を持ち、最新技術を導入することで、警察官を増やしたり、多くの警察官を市内に重点配置したりすることなしに、犯罪防止や捜査能力の向上につなげようとしている。

 その一環として、5月には警官の帽子をかぶり、制服の柄にペイントされた人型ロボット警察官も導入。こちらはスペイン・バルセロナのパル・ロボティクス(PAL Robotics)が開発したもので、顔やナンバープレートの認識機能のほか、話しかけたり、胸の位置に取り付けられたタッチスクリーンを使って、市民が犯罪や事故を通報したりできる。

 スマート・ドバイ・イニシアチブ関連では、ドバイ運輸省が「空飛ぶタクシー」の実用化に向けて、中国製の1人乗りドローンの試験運用に近く乗り出すことも明らかにしている。


2017年7月2日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
2020年の東京五輪・パラリンピックでは、会場や街中の警備にロボット立国・日本が開発したロボコップが見たいところ。

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