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クレジットカードにフィンテックの波は押し寄せるか

経産省が普及後押し、API連携の指針骨子まとめる
 経済産業省はクレジットカード業界のフィンテック(金融とITの融合)普及を推進する。2018年半ばまでにクレジットカード会社に対してフィンテック企業とAPI(応用プログラムインターフェース)接続するかどうかを意思決定させ、利用者保護を徹底するセキュリティー基準など双方が満たすべき要件の公開を求める方針だ。決済データを活用した新サービス創出を促し、キャッシュレス社会の進展を後押しする。

 APIはさまざまな企業が、カード会社のシステム機能を使える接続口。経産省はカード会社とフィンテック企業のAPI連携ガイドライン(指針)骨子をまとめた。17年度末に指針完成を目指す。

 策定後、6カ月以内にカード業界に体制整備の具体策と完了予定時期を可能な限り公開させ、フィンテック企業が連携要請しやすい環境を整える方針。API仕様も標準化し、開発コスト低減につなげる。

 当面は、具体的なサービスが想定されるイシュア(カード発行会社)との連携を指針対象とする。フィンテック企業が改正銀行法で規定された電子決済等代行業者に求める基準を満たし、金融機関と連携実績がある場合は要件を満たすと判断する。ただし、カード番号を扱う場合は、国際ブランドが定めるデータセキュリティー国際基準「PCIDSS」を満たさねばならない。

 経産省は今後、日本クレジット協会と連携し、指針対象サービスなどを定める。国内1000万人を超える消費者が利用する家計簿アプリケーションソフト(応用ソフト)をはじめ、ポイント利用機会の拡大、残高不足警告、使いすぎの抑制、支払い方法の手軽な切り替えといった複数のサービスを想定している。
日刊工業新聞2017年6月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
政府はキャッシュレス決済比率を今後10年で倍増、米国並みの4割に引き上げる方針。年1回、ガイドラインの準拠状況を調査し、結果を公開するほか、策定後2年以内に主要カード会社でAPI連携を実現するなどの政府目標も検討するという。

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