修士進学率が分野によって8割にも。東京理科大の“6年一貫”教育

藤嶋学長に聞く。学部3年までの基礎と、卒業・修士研究の3年間で構成

  • 1
  • 0
東京理科大公式ページより
 在学生2万人、卒業生20万人と理工系大学で日本最大の東京理科大学。昼間部では学生の約1割が留年するような独自の進級制度「関門制度」で教育の質を確保し、産業界の評価も高い。2016―21年度の長期計画で掲げる「日本の理科大から世界の理科大へ」に向けた取り組みを藤嶋昭学長に聞いた。

 ―修士進学率が分野によっては8割など高まっていますね。
 「これを受けて6年一貫教育にシフトし始めた。学部3年までの基礎と、卒業・修士研究の3年間で構成する。後半の3年間は現代の重要な領域を取り上げる横断型のコース制を導入する。まず4月から理工学研究科10専攻で始めた。医理工学、エネルギー・環境、防災リスク管理などの領域に、学科・専攻を越えて各研究室が参加し、プロジェクトやセミナーを進める」

 ―文部科学省の新事業「私立大学研究ブランディング」で、全学の重点研究テーマに「表面や界面の水」を打ち出しました。
 「水は切削加工でも高機能材料の表面構造との関係でも重要だ。光触媒のセルフクリーニングや鏡の曇り防止でも、水滴の付き方が関係する。この学際研究の拠点となる新センターを立ち上げた」

 ―大規模大学だけに1テーマでも部局が分かれてしまい、調整が難しいのでは?
 「それだけに、間をつなぐ大学リサーチアドミニストレーター(URA)が重要だ。研究の企画や管理、社会発信など手がける専門職で約30人をそろえた。学外連携では日本医科大学に薬学部学生の実習先になってもらい、本学の最先端機器活用や統計・データ解析の教育を提供する関係を築きつつある」

 ―学校法人で抱えていた3大学のうち、二つが公立化します。
「山口東京理科大学が16年度に、山口県の『山陽小野田市立山口東京理科大学』に変わった。経営は別だが、新設予定の薬学部を含めカリキュラム設計など協力している。諏訪東京理科大学も18年度に長野県の6市町村の支援で転換する。公立化で学費が安くなり受験生が増え、レベルも上がるなどよい変化になることを期待する」
東京理科大学学長・藤嶋昭氏

ふじしま・あきら 66年(昭41)横浜国立大工卒。71年東大院工学系研究科博士課程修了、同年神奈川大工学部専任講師。75年東大講師、78年助教授、86年教授。03年神奈川科学技術アカデミー理事長。10年東京理科大学学長。東京都出身、75歳。

日刊工業新聞2017年4月20日

COMMENT

学生リポートを添削する助教への手当の新設や学生談話室に7000冊そろえた新書文庫の設置など、学長予算も活用して多彩なアイデアを実践する。学内の光触媒国際研究センター長としても活躍し、研究者としても現役だ。このパワーが理科大生をどのように刺激しているかを、次は取材してみたい。 (日刊工業新聞科学技術部・山本佳世子)

関連する記事はこちら

特集