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羽根のない風力発電機、スペインのベンチャーが開発

シリンダーの振動で発電し、従来型に比べ40%のコスト削減可能に?
 英ダイソンから羽根のない扇風機が売り出されて話題になったが、今度は羽根のない風力発電機をスペインのベンチャー企業、ボルテックス・ブレードレス(Vortex Bladeless)が開発した。炭素繊維やガラス繊維でできた細長い円錐形状のシリンダーを地面に垂直に立てておき、風を受けるとその反対側に渦ができ、シリンダーが振動する現象を利用。下の方に「リニアオルタネーター」を組み込み、永久磁石とコイルを直線的に往復させて交流電流を作り出す。

 ギアやベアリングがないため、駆動音がなく、通常のブレード式に比べて重量は約5分の1、基礎部も50%以上小さくできるという。さらに同じ発電出力であればコストを40%削減できるとしている。メンテナンスも不要で、羽根がないので鳥がぶつかって死ぬバードストライクも防げる。ただ、良いことづくめのようだが、発電効率はブレード式ほどは高くないようだ。

 同社は政府やベンチャーキャピタルから合計600万ドル規模の事業資金を調達しており、2016年に4キロワット、2018年ごろに1メガワットの計画している。現在、クラウドファンディングサイトの米インディーゴーゴーを通じて、出力100ワットの商用モデルを作る5万ドルの資金調達も実施している。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
そもそもの発明のきっかけは、1940年に米ワシントン州にあった「タコマナローズ橋」という吊り橋が風を受けて共振しながら大きく揺れるビデオ映像を見たこと。最終的に橋は崩落したが、液体や気体の流れを構造で受け止め、その共振を使って風力をエネルギーに変える手法を思いついたのだという。なるほどー。

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