中国の“成長痛”追い風、日本の化学メーカーに商機
来年の「環境保護税」導入の向け各業界が揺れ動く
独自技術で事業拡大狙う
機能化学・インク各社は、欧米や中国で厳格化される環境規制に対し、環境汚染や森林保護に寄与する独自の製品・技術で事業拡大の道筋を描く。
旭化成やJSRなど日本勢が高いシェアを握るのが、低燃費タイヤの接地面に用いる溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S―SBR)だ。路面の抵抗を抑えて燃費改善に貢献するほか、耐摩耗性や雨天時の安全走行を実現するグリップ性能も高い。15年度の世界需要は約110万トンで、今後も年率6―8%の成長を見込む。
従来は欧州が主要市場だったものの、中国でもタイヤの転がり抵抗とウェットグリップ性能を等級化するラベリング制度がスタート。JSRの小柴満信社長や日本ゼオンの田中公章社長は「間違いなく追い風だ」と口をそろえる。4月には、ゼオンと住友化学が同事業を統合した新会社も始動。日本勢の存在感がより高まりそうだ。
一方、DICは工業用塗料に使う水性樹脂の普及に力を注ぐ。法律と税制の両面で、中国政府が溶剤系塗料から水性や光硬化性などへの移行を後押ししているためだ。
中国・台湾の塗料大手は数値目標を設け、環境対応製品の採用を加速。DICも現地生産を始め、中国の水性樹脂需要が20年に15年比約4倍に成長すると見通す。
積水化学工業が鉄道の枕木向けに提案する軽量耐食構造材(FFU)もユニークだ。硬質のウレタン樹脂発泡体をガラス長繊維で強化したもので、約50年と長い製品寿命と木材並みの軽さや強度、加工性を両立。鉄道建設が急ピッチで進む中国で採用が伸びている。
(文=鈴木岳志、堀田創平)