“建設現場の工場化”はどこまで可能か。鹿島とコマツの挑戦

1人の作業者が三つの異なる建機を駆動させるまでたどり着く

 「今後、熟練技能者が減るのは明らか」。鹿島の三浦悟技術研究所プリンシパル・リサーチャーは、次世代建設生産システムの開発に着手した背景を説明する。技能者不足に加え、労働災害の多さも問題意識にあった。

 開発のキーワードは建設機械の「自動化」だ。94年の火山噴火に伴う除石工事で、初の建機の遠隔操縦による無人化施工を実施。以降、災害の復旧工事で実績を積んだ。

 さらに東日本大震災で被災した、東京電力福島第一原子力発電所の解体工事でがれきの自動搬送システムを導入。フォークリフトなどの自動化を実現し、着実に開発を進めてきた。

 だが、同じ通路を繰り返し走行するがれき搬送と比べ、さまざまな動きがある現場作業は「全く別もの」(三浦氏)。このため熟練オペレーターの操作から運転データを定量化・基準化。コマツからは建機の制御に関するノウハウなどを提供してもらい、自動化に取り組んだ。

 例えばブルドーザーでは、土砂を押したときの広がり方について、シミュレーションプログラムを開発。さらに人工知能(AI)を活用し、熟練オペレーターと同等の施工品質となるパターンを見いだした。

 思わぬ問題にも遭遇した。建機は法律上、作業者の乗車が前提で自動化は想定されていない。このため厚生労働省に相談。タブレット端末で建機の作動を指示、管理する作業者が、建機を運転できる有資格者とすることで了承を得た。

 現在までに、ダンプトラックが土砂を運搬、ダンプアップ(荷下ろし)し、ブルドーザーがその土砂を広げてならし、振動ローラーが締め固めるまでの一連の作業を自動化。1人の作業者が、三つの異なる建機を駆動させることが可能だ。

 三浦氏は「建設現場の作業を最適化したい」と“現場の工場化”の実現に向け、さらなる開発に意欲を燃やす。
次世代建設生産システムを稼働している大分川ダム建設工事(大分市)

(文=村山茂樹)

日刊工業新聞2017年3月22日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
03月24日
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両社が開発したのは建機が自動的に作業を行う生産システム。作業者がタブレット端末で指示を出すと、建機が稼働する。1人で複数の建機を扱うことが可能で、熟練技能者不足に対応できる。こうしたシステムは国内初。これまでにダンプトラック、ブルドーザー、振動ローラーの自動化を実現。ダム工事などで適用する。
(日刊工業新聞第二産業部・村山茂樹)

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