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障害物を走りながら飛び越えるチーター型ロボット、MITが開発

今週末のDARPAロボティクスチャレンジでデモ公開
障害物を走りながら飛び越えるチーター型ロボット、MITが開発

チーター型ロボットの訓練の様子(Image: Haewon Park, Patrick Wensing, and Sangbae Kim)

 目の前の障害物を検知し、それを飛び越えて走り続けるチーター型の4足歩行ロボットを、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが開発した。28日にその動画を公開した。走りながら自律的に障害物をジャンプするロボットは世界初という。平均時速8kmのスピードで走り、高さ46cmまでの障害物を飛び越えることができた。

 かつて、MIT発ベンチャーとして1992年に設立された軍事ロボット開発会社のボストンダイナミクス(マサチューセッツ州)が時速45kmで走るチーター型ロボットを開発しているが、同社は2013年に東大発ベンチャーのシャフトなどとともにグーグルに買収されている。

 チーター型ロボットの障害物検知の仕組みは、レーザー光を照射してその散乱光から、周囲の物体までの距離や方向を測定するライダー(LIDAR=レーザー画像検出・測距)で常時監視。さらに、LIDARのデータをもとにロボットの経路を導き出す3つのアルゴリズムを開発した。

 1つ目のアルゴリズムではまず、近づいてくる障害物を検知し、障害物までの距離と高さを推定。2つめは、障害物に近づきながら、ジャンプしてその高さの障害物を飛び越えるのに最適な位置を予測し、ジャンプする地点に行くまでに歩幅を一歩ごとに調整する。このプロセスに要する時間は、一歩足を運ぶのにかかる時間の半分の約0.1秒という。

 そしてジャンプする地点に来ると、障害物の高さ、ロボットの走行速度をもとに、3つめのアルゴリズムで飛び方の経路や空中での足の運び方を計算。ロボットが障害物を乗り越えるのに必要な力をモーターに与え、着地の時も走るペースが元に戻る前に、安全に着地できるよう足にかける力を調整する。

 実験では、トレッドミルではロボットを上から吊り下げて、屋内トラックでは安全ハーネスなしで行った。うち長さ4mのトレッドミルでは、わずか1mの距離で障害物を検知し、飛び方を決めなければならず、成功率は70%とあまり高くなかった。それに対し屋内トラックでは、障害物を検知するまで空間的にも時間的にも余裕があるため、成功率は90%に達した。現在は、草むらなど柔らかい地面でもロボットが障害物を乗り越えるための研究開発を行っているという。

 このMITチータ2ロボットは、6月5-6日にカリフォルニア州ポモナで開催されるDARPAロボティクスチャレンジ(DRC)ファイナルズのデモンストレーションで、ジャンプを披露する予定だ。
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
やはり軍事用につながる技術開発なのかなということで、ちょっと怖い。DARPA(国防総省国防高等研究事業局)も資金提供しているし。ただ、ジャンプに失敗して転倒したら、今の段階ではたぶん自力で起き上がれないのでは。まだまだ開発の余地ありです。

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