商社はコンビニ・スーパーをどこまで変えるのか

伊藤忠と三菱商事の代理戦争、セブンは静観?


数が質を生み、質が数を生む


 「今後2年間で約2000店舗が積み上がる。2019年2月期に国内で1万5000店舗という目標が、確かなものとして見えてきた」。ローソンの竹増貞信社長は、店舗数の見通しをこう明言する。16年2月期の純増数は119、17年2月期も700程度の見込みで、一気に拡大する計画だ。

 北関東が地盤のセーブオン(前橋市)は2月1日、ローソンとメガフランチャイズ契約を結び、約500ある店舗を18年末までにローソンへ転換する方針を示した。ローソンはこうした“提携”を店舗数増につなげている。

 一方、ファミリーマートはエーエム・ピーエムやココストアとの“合併”で拡大してきた。16年9月にはサークルKサンクスの親会社だったユニーグループ・ホールディングス(HD)と統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)を発足。国内コンビニ店舗数は16年末に1万8185となった。

 伊藤忠商事の食料カンパニープレジデントとしてこの統合に携わったのが、3月1日にユニー・ファミマHD社長に就く伊藤忠の高柳浩二副社長だ。高柳ユニー・ファミマHD次期社長はサークルKサンクス店舗のファミマへのブランド統一について「前倒しできる」と言い切る。店舗数についても「数が質を生み、質が数を生む。数があれば(商品の)メーカーも一生懸命作ってくれる」と拡大戦略を続ける方針を示す。

 竹増ローソン社長は三菱商事出身だ。畜産部で現社長である垣内威彦氏の部下として働いたり、小林健前社長(会長)の社長業務秘書を務めたりした後、14年にローソンへ移り、16年6月に社長に就いた。その3カ月後には、三菱商事が1440億円を投じ、ローソン株のTOB(株式公開買い付け)をする方針を示し、2月9日にローソンを子会社化した。三菱商事はミニストップを傘下に持つイオンの株の4・8%も保有している。
                   

金融事業に意欲


 ローソンは16年11月、三菱東京UFJ銀行と共同出資し、銀行業参入に向けた準備会社を設立するなど三菱グループとの関係を強めている。ファミマは銀行運営には「金融庁のしばりが面倒」(同社首脳)と否定的だ。ただ高柳ユニー・ファミマHD次期社長は金融事業について「まだやっていないことが多い」と意欲を示す。「ファミマには人材もノウハウもないので伊藤忠を使う。伊藤忠出身なので、伊藤忠の力は分かっている」と話す。

 ファミマとローソンのつばぜり合いは、伊藤忠と三菱商事の代理戦争の様相も呈している。ただコンビニ業界でトップを走るのは、三井物産がセブン&アイ・ホールディングス株の1・83%を持つのみの、いわば“非商社系”であるセブン―イレブンだ。店舗数は「17年に2万店に達する」(古屋一樹セブン―イレブン・ジャパン社長)としている。

 竹増ローソン社長は「質を高くしつつ、量もしっかり追いかける。三菱商事ともその考えを共有する」と力説する。コンビニの“質”を測る指標の一つが、店舗当たりの1日の売上高である「日販」だ。16年3―11月期の全店平均日販はセブン―イレブンの66万円に対し、ファミマが53万円、ローソンが55万円と大差がついている。

 食品をはじめ、さまざまな経営資源を持つ商社から見て、川下である小売業は魅力的な存在だ。商社の関与強化で、コンビニの店舗数拡大や機能の多様化は進みそうだ。
(文=江上佑美子)

日刊工業新聞2017年2月14日/15日

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日刊工業新聞 記者

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02月15日
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規模の論理は確かにある。しかし、少子高齢化が進むこれからは地域性、というか1店1店の商圏が大事になるのではないだろうか

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