「豊洲」は本当に持続可能なのか。慎重派の理事長誕生でどうなる移転問題

小池知事、最後は都民に判断を委ねるのか

  • 2
  • 1
専門家会議は第1回会合から移転反対派の移転中止を求める声が飛んだ
 東京都が検討中の築地市場(東京都中央区)から豊洲市場(同江東区)への移転問題が混迷している。豊洲市場の施設下に盛り土をせず地下空間を設けたことに端を発し、次から次へと問題が発覚。移転は難航の一途をたどっているが、1月31日に築地最大の業界団体「東京魚市場卸協同組合」(東卸)の新理事長に移転慎重派の早山豊氏が選出され、潮目が変わる可能性も出てきた。

 豊洲市場の2年間の地下水モニタリング調査第9回目で、環境基準の79倍のベンゼンなどが暫定値で検出された。これを受け、豊洲市場における土壌汚染対策等専門家会議(平田健正座長)は1月30日、現場の採水に立ち会い、再調査に乗り出した。結果は3月に出る予定だが、調査をしばらくの間続けることから事態は当面動かない状況だ。

 一方、市場の外は慌ただしい。夏の都議選を控え、豊洲市場移転問題は「争点の一つになりうる」(小池百合子知事)ことから、都議会の動向もにわかに注目され始めた。

 豊洲市場移転問題特別委員会(山﨑一輝委員長)では、石原慎太郎元知事や浜渦武生元副知事らの参考人招致要求を7日に開く理事会で再検討する。

 都議会民進党(尾崎大介幹事長)は1月31日に会見を開き、強い調査権限を持つ「百条委員会」の設置を都議会に求める方針を示した。これに対し、2日の中部日本放送のテレビ番組に生出演した浜渦氏は百条委員会が設置された場合、「招かれれば出て正直に全て話す」と述べた。

 各会派、都職員、移転推進派・慎重派の業者らそれぞれの思惑が錯綜する。解決が長引けば補償問題も含め、莫大(ばくだい)な公金がさらに投じられる。どう幕引きするのか。解決のめどすらたたない状況で、小池知事の総合的な判断が待たれる。

日刊工業新聞2017年2月6日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

豊洲移転の可否は、安全性と持続可能性の両面から検証される。これは、農水省が移転の認可の可否を決める場合の審査基準でもある。安全性は、既に明らかになったように、都が決めていた「環境基準を満たすこと」という条件はクリア出来ていない。また、持続可能性についても、豊洲移転後は毎年150億円違い損失が出る見込みだ。キャッシュフローベースで見ても必要な設備投資を含めると大幅赤字であり、持続可能性があるとは言い難い。後は納税者である都民の判断ではないか。

関連する記事はこちら

特集