エンジ各社、巻き返しの1年。エネルギー投資待ちかインフラ受注拡大か

日揮、千代化、東洋エンジ3社トップインタビュー


千代田化工建設・渋谷省吾社長インタビュー


「サハリンでインフラも含めて全体像を描いていく」 
 ―エネルギー企業が投資に慎重です。
 「油価が上昇すれば、米国でシェールオイルが増産されると思うので、油価が(1バレル)60ドルを超える可能性は少ない。そのためエネルギー設備を受注するには厳しい状況が続く」

 ―LNGプラントへの投資も停滞しています。
 「カナダやサハリン、モザンビークで案件が動くことを期待している。一方で、今のところ2019年までLNG関連の仕事を確保できている。米国や豪州などでの案件を遂行するのに忙しい」

 ―ロシアのサハリン州政府、三井物産とガス分野で協力する覚書を交わしました。
 「サハリンでのエネルギー利用のプランを提案する。インフラも含めて全体像を描いていく。(今後見込まれる)案件への入札に向けてもプラスだ」

 ―17年度の受注見通しは。
 「LNG案件を除いては約3000億円と考えている。国内では医薬や産業設備、太陽光発電など、仕事が増えてきている。できれば発電所の案件も取り込んでいく」

 ―人工知能(AI)やビッグデータ(大量データ)を活用する方針を打ち出しました。
 「(専任部署の)『AIソリューションユニット』を設けて、30人ほどで取り組んでいる。試行錯誤しながら、良い結果がいろいろと出てきている。設備が停止するのを防ぐ手だてを見いだせるだろう」

東洋エンジニアリング・中尾清社長インタビュー


「発電分野にビジネスチャンス」
 ―厳しい受注環境が続きます。
 「OPECの減産合意により油価が若干なりとも上がることがみえてきたが、案件(への投資)につながるかは分からず、今年も決して楽ではない。米国ではドナルド・トランプ次期大統領の国内重視の政策を通じて、投資が動くのはプラスかもしれない」

 ―インフラ分野の受注も必要です。
 「電力小売りの自由化の影響が大きく、発電分野をビジネスチャンスととらえている。石油分野の案件とは異なり、安定して案件が増えていく。またジャカルタでは地下鉄を整備する案件にも参画している」

 ―再建計画が最終年度を迎えます。
 「事業環境が変わってきているため、(2年前に公表した)業績目標を見直す必要がある。一方でコスト競争力は、これまでよりも高まっている。体制面の整備にも満足している」

 ―肥料工場などの運転支援に向けて米ゼネラル・エレクトリック(GE)と協業します。
 「GEの(IoT基盤システム)『プレディックス』を活用するとともに、AI(人工知能)の要素も取り込むことで、以前から考えてきたことを実現できる。価格競争だけではない価値を提供するツールだ」

 ―新事業の展開は。
 「社内で1年近く検討してきた。次のフィールド(市場)を見据えた取り組みを来年度から始める」

日刊工業新聞2017年1月4日

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日刊工業新聞 記者

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01月05日
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エンジ業界では液化天然ガス(LNG)の需要と供給が均衡する時期は2022―23年ごろとの見方が多い。需要を見据えた投資が必要で、プラントが稼働するまでに5―6年かかることも踏まえると、18年以降に案件が動きだすことが予想される。エンジ3社には市場の本格回復を前に、受注案件の多様化による収益の底上げが求められる。
(日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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