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インテルとアマゾンが提携、音声アシスタントで室内機器を自由に操作

自前以外のスピーカー対応も、「どこでもアレクサ」で家庭向けIoT制覇へ
 米インテルと米アマゾンが音声認識技術を活用したスマートホームの分野で提携した。アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」をインテルの家庭用ゲートウエー機器「スマートホーム・ハブ」と連動させ、音声でさまざまな住宅機器を制御できるようにする。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が米ラスベガスで1日まで開催した年次イベント「re:Invent(リインベント)」で発表した。

 さらに、現在は主に「エコー」と名付けられたスピーカーに内蔵された形で提供されているアレクサについて、両社でアレクサに対応した新しいスマートスピーカーのプラットフォームを開発する。2017年の第1四半期に発表する予定。

 アマゾンはすでに、アレクサを各種アプリやデバイスに繋ぐためのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を公開しているが、スピーカーはオリジナルのエコーの提供にとどまっていた。

 アレクサはアップルの「シリ(Siri)」はじめ他社の音声アシスタントに比べて音声認識率が高いといわれる。さらに、グーグルがエコー対抗機として今年10月に発表し、11月に米国で出荷を開始した「グーグルホーム」と比較しても、「スキル」と呼ばれるサードパーティーアプリとの連携でアレクサが大きく先行する。参照モデルの公表で、各社がアレクサ対応のスマートスピーカーに参入しやすくなることから、いわば「どこでもアレクサ」のように、アレクサの普及が一気に進むと期待できる。それに加え、スマートホームをはじめとするIoT(モノのインターネット)分野で、AWSのクラウドビジネスを拡大する狙いもある。

 一方、リインベントの会場外に設けられた約20平方メートルの小さなモデルルームでは、アレクサを使った現行技術によるスマートホームのデモを実施。室温を調整するサーモスタット、LED照明、ホームシアター用スピーカー、窓のロールスクリーン、セキュリティーカメラなどを音声で操作できるようにした。

 個別の機器を操作するだけでなく、個人のライフスタイルに合わせ、家庭用機器をまとめて操作することも可能。例えば、「アレクサ、映画の時間にしてくれ」と話しかけると、自動的に窓のロールスクリーンが下りて照明が暗くなり、プロジェクターが映像を流し始める。あとはパソコンから提供される映画を音声で指定すればいい。

 夜も更けて「アレクサ、おやすみ」と言うと、サーモスタットが温度を数度C下げた省エネモードになり、室内照明を落とし、室外灯を点灯、ドアをロックする。寝付くまでの間、ホームシアター用スピーカーから音楽が流れ、何分かするとスイッチが切れる。朝になり、「アレクサ、おはよう」と声をかけると、今度はロールスクリーンが上がり、サーモスタットが室温を適切な温度に調節、お茶用に電気ポットがお湯を沸かす、といった設定も行えるという。

【スマートホームのモデルルームでのデモ】
2016年12月4日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
評判の高い「アレクサ/エコー」だけに、日本版の発売が待たれます。とはいえ、アップルのSiriのようにSIriに話を聞きたい時だけではなく、アレクサは常時聞き耳を立てているため、個人情報が根こそぎ持って行かれる心配もないではないですが。

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