マツキヨは中小調剤薬局の救世主になるか

緩やかに経営支援、全国約5万8000軒をじわりグループ化へ

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マツモトキヨシの次世代店舗「マツキヨラボ」
 大手ヘルスケア企業が中小の調剤薬局を巻き込む“緩やかな提携”を推進している。内容は経営指導や品ぞろえの支援、機器・情報システムの提供など多彩だ。調剤薬局は生活者が健康相談の目的で気軽に入れる「健康サポート薬局」になることを求められており、個人経営店では対応しにくいことが背景にある。大手企業にとっても中小薬局と徐々に関係を深めつつ、M&A(合併・買収)の可能性も探れる利点がありそうだ。

 ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングス(HD)は、中小薬局の経営や調剤業務を支援する事業「マツモトキヨシ調剤サポートプログラム」を12月に始める。

 中核事業会社であるマツモトキヨシの成田一夫社長は「我々はグループの調剤薬局を健康サポート薬局にしていく。(その過程で得た知見を)外部向けにも商品化する」と意気込んでおり、開始5年後に400―500店舗の参加を目指す。

 厚生労働省は2015年9月、調剤薬局のあるべき姿をまとめ、それを満たす店舗を「健康サポート薬局」と呼ぶこととした。具体的には服薬情報の一元管理や在宅医療への対応、一般用医薬品・健康食品に関する助言ができることなどを求めている。

 マツキヨによると全国には約5万8000軒の調剤薬局が存在するが、「7割方が個人薬局」(成田社長)。そうした店舗は健康サポート薬局の要件を満たしたくても、資金や人的資源の面で対応が困難な場合が多い。

 そこでマツキヨは専任相談員が同プログラム利用店へ訪問し、調剤業務の標準化や過誤防止対策などを助言。一般薬や健康食品、医療雑貨も供給して品ぞろえを支援する。対価として経営指導料や手数料を受け取る。

 見逃せないのは、フランチャイズ(FC)契約やM&Aを前提とはしていない点だ。成田社長は「FC店は本部が決めたマニュアル通りにやるとの意味合いがある。今回は(薬剤師という)専門家に対して専門的なアドバイスをする」と、潜在顧客への敬意を示す。

 調剤薬局業界では16年4月の調剤報酬改定の影響もあり、M&Aが加速しつつある。だが買う側は、当然ながら相乗効果(シナジー)を慎重に判断しなければならない。マツキヨは同プログラムを展開する過程で、M&Aの可能性を模索していく考えだ。

 医薬品卸大手の東邦HDも、中小調剤薬局との緩やかな提携関係を続けてきた。08年6月に発足した「薬局共創未来」と呼ぶ枠組みで、16年9月末時点の会員数は6557法人、1万8005店に上る。

 個々の薬局では対応が難しい問題について情報共有や勉強会などを行い、関係を深める中で医薬品や情報システムの販売に結びつくことがあるという。会員企業に対するM&Aも「双方のニーズが合えばありえる」(広報)としている。

 業務提携にせよ資本提携にせよ、信頼関係なしには成立しない。リスクを抑えつつ多様な選択肢を確保する意味で、マツキヨや東邦HDの取り組みは意義深いと言える。ただ、業界再編が関係者の想像以上に早く終わる可能性は否定できない。時には迅速な意思決定も試されそうだ。
(文=斎藤弘和)

日刊工業新聞2016年11月24日

COMMENT

中小の薬局はその数の多さに驚きます。薬価は今後、漸減傾向。マツキヨHDのプログラムは中小薬局の救世主になるのでしょうか。

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