日本の板ガラス産業は生き残れるか。経産省は再編促すが・・

市場縮小と新興国過の過剰生産に苦しも、各社は独自路線で改革へ

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旭硝子鹿島工場の溶融窯。需給ギャップの解消が課題

3社は「高付加価値化」で収益改善狙う


 旭硝子は自動車用ガラスを成長分野に位置づけ、高機能品の開発に積極投資するほか、建築用ガラスでも付加価値品の拡販を進める。収益性を示す株主資本利益率(ROE)を17年度に今の3・9%から5%に引き上げる計画を掲げる。売上高全体の5割を超えるガラス事業の収益強化は計画の成否を大きく左右する。

 旭硝子の高機能品で販売を伸ばすのが、独自の自動車用の紫外線(UV)低減ガラス。ガラスの組成を生産段階で調整するなどし、これまで不可能だった単層ガラスでUV低減を業界で初めて実現した。単層ガラスはUV低減ガラスに多く使う合わせガラスより軽く、燃費改善を進める自動車メーカーへの訴求力は高い。6月にはトヨタ自動車が高級ミニバンのリア用ガラスに採用した。


 日本板硝子は19年度までの経営計画で、高機能品の比率を高めた「VA(Value・Added)ガラスカンパニーへの変容」を掲げるなど、高付加価値化への傾注を大きく印象付ける。

 14年度に30%程度だった「VA比率」を19年度以降に50%以上にするとし、拡充を急ぐ。板ガラス事業利益率は6%程度と業界では高水準にあるが、過去のリストラなどに伴う金利負担が依然として重く、財務基盤の立て直しに直結する利益率の引き上げは急務だ。

 ガラスとガラスの間に真空層を設けた「真空ガラス」は、日本板硝子が業界で初めて開発した高付加価値分野の代表商品だ。一般的な建築用複層ガラスに比べ断熱性能は約2倍と高く、国による建築物の省エネ化が進むなど、時流にも乗る。大手ハウスメーカーも採用に乗り出し、販売を伸ばしている。

(商業ビルに採用された「高透過ガラス」も日本板硝子の高付加価値品の一つ)

 国内3位のセントラル硝子もガラス事業で高機能品の拡充を強く打ち出す。好調なファインケミカルなどの化成品事業が営業利益の99%を稼ぎ出すが、18年度に営業利益200億円(15年度139億円)を目指す上で、営業利益率が1%を下回るガラス事業の再建は重要課題の一つ。

 中でも自動車用ガラスを成長分野とし、高機能品の売り込みを加速。国内外とも自動車メーカーからの採用を拡大し、利益率改善の足固めにつなげるとみられる。
(文=小野里裕一)

日刊工業新聞2016年11月9日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

世界シェア首位の旭硝子は81年にベルギーの板ガラス製造大手、グラバーベルを買収。同2位の日本板硝子も06年に英ピルキントンの大型買収を実施したほか、セントラル硝子も仏大手サンゴバンと業務提携するなど、一時、日系メーカーが世界市場で攻勢をかけた。特に象徴的だったのは「小が大をのみ込んだ」日本板硝子の6000億円を投じたピルキントン買収。グローバル化に道を開いたが、この10年の期間中、2人の外国人社長は途中で辞任し、業績を見れば必ずしも成功したとは言いがたい。 中国の過剰生産問題は鉄鋼だけの問題ではない。板ガラス以外にも化学、石油精製、紙、造船など数多い。さらに欧米では保護主義が一段と高まる可能性が高く、日本企業は悠長な事は言ってられない。

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