生涯正社員が不利になる時代

企業も従業員も国にも大きな足かせになる

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今年の内定式

今の勤務形態では介護と子育てができない 


 従業員にとっても生涯に渡って正社員で雇用されることが最適とは限りません。その一番の理由が介護問題と家事・子育てです。まず介護に関して言うと、今後10年で75歳以上の人口が急激に増えていきます。50歳前後の人たちが親の介護に関わることになります。

 現在はまだまだ本格的な介護時代の入り口ですが、これから物凄い勢いで75歳以上の絶対数が増えていきます。事実、大手企業の複数社が介護休暇を導入し、その他介護に対応するための勤務形態などを設計しています。

資金的、人的に体力のある企業はなんとか社員の介護支援をできるかもしれませんが、今後10年の人口動態を見ると流石に抜本的な改革が無いと社会構造に追いつきません。

 そうなると企業に所属する正社員の終身雇用は従業員のライフステージの変化に対応できず、働く側にとって非常に不便な雇用形態となってしまいます。

 家事・子育てに関しても同じことが言えます。工業や建設業を中心とした体力が必要な産業で経済成長している時代であれば、力のある男性が必死に働くことで付加価値を最大化できます。

 筋肉マンの男性が掃除、選択などの家事をやることはもったいなかったわけです。なので、役割分担をして女性が家事を担当し、男性は体力が必要な仕事に従事するというスタイルが夫婦のリソース配分や、企業としても日本国としても最適になるわけです。しかし、内需マーケットは人口減少に比例して縮小する可能性が高く、マーケットニーズも多様化しています。

 企業も多様性を担保して柔軟にマーケットの変化に対応できる組織に変わらざるを得ません。そうなると、女性の社会進出が進み、結果として男性も育児・家事に参加「せざるを得ず」家族の役割分担が変わっていくでしょう。

一人ひとりの生産性をいかに上げるか


 そして、日本の国(政府)にとっても正社員の終身雇用が主流の社会を変えざるを得なくなってきました。日本は経済大国ですが、GDPは世界第三位、2013年に中国にGDPを抜かれて、現在はすでに2倍以上の差がついています。

 一人あたりのGDPをみると32,000米ドルで実は世界第26位。時間あたりの生産性に関してみるとOECD加盟34カ国の中では22位、主要先進7カ国の中では最下位です。この分母に当たる労働時間の中にはいわゆるブラック企業のサービス残業などは含まれてなさそうなので、実際の順位はもう少し落ちる可能性もあります。単に人口が多いのでGDPが大きく見える、というのが実情なのです。

 政府も日本が国際社会の中で一定のポジションを保つためには、経済力はとても重要です。今後本格的な生産年齢人口が減少することが確定している日本にとって、一人ひとりの生産性をいかに上げるが肝になります。そのためには現在働いている人の生産性を上げると同時に、これまで(GDP観点から)働いてなかった人たちを労働市場に参入してきてもらわなければなりません。

 世界的にも前例のない勢いで人手不足問題が顕在化するなか、すでに働いている人は生産性をあげて働く。まだ働いてないけれど働ける人は新規でドンドン働いてもらう、という流れを作っていかなければなりません。

<次のページ、個人のライフステージに合わせた雇用選択に>

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