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時価総額上位100社で“持続可能な開発目標”を掲げたのは何社?

新たな企業の評価指標「SDGs」、この1年で認知度高まる
時価総額上位100社で“持続可能な開発目標”を掲げたのは何社?

健康促進の目標は、医療・ヘルスケア事業のビジネスチャンス(アフリカで使われる富士フイルムのX線画像診断装置)

 時価総額上位100社のうち、企業の社会的責任(CSR)などの報告書で国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に言及したのは36社だった。クレアン(東京都港区、薗田綾子社長)の冨田洋史氏が調査した。内容別では、社長などが方針を語るトップメッセージで触れた企業が23社と最も多く、事業と関連づけた記載は8社だった。国連などは企業に本業で目標達成に貢献するように求めており、事業と関連づけた記述の増加が期待される。

 冨田氏は国連が2015年9月に採択したSDGsへの関心を知るため、企業が発行する報告書を調査した。時価総額は9月末が基準で、100社のうち89社が報告書を発行していた。SDGsに言及した企業は36社、言及しない企業は53社だった。言及した企業のうち、重要課題や方針説明の記事でSDGsに触れていた例が16社と、トップメッセージに次いで多かった。

 事業と関連づけた記載をした8社中4社はSDGsのどの目標の達成に貢献するかを宣言した。伊藤忠商事は各事業部門の行動計画が合致する目標を記載。東京海上ホールディングス(HD)も貢献できる目標を特定して掲載した。

 事業との関連性の整理は2社だった。富士フイルムHDは製品や技術とSDGsの17目標との関連性を整理した表を作成した。

 冨田氏は「事業との関連を投資家や政府が知りたがっている。17年度は、事業とSDGsとの関係に踏み込んで開示する企業が増えてほしい」と語る。

 SDGsは社会や経済、環境の課題解決を30年までの目指すべき姿とした世界共通目標。事業機会ととらえた海外企業が、SDGsを経営目標に組み込んでいる。


ネットTVで公開


 トゥリー(和歌山県白浜町、水野雅弘社長)は、国連が定めた2030年までの目標「持続可能な開発目標(SDGs)」をインターネットで学べる「SDGs・TV」を公開した。SDGsの17の目標別に動画があり、企業の社内教育や研修に活用してもらう。

 SDGsは世界に共通する社会や経済、環境の課題解決を目指しており、企業には事業を通して目標達成に貢献するように求めている。SDGs・TVの動画には解説文もあり、視聴しながら自社の事業との関わりを学習できる。トゥリーは目標達成を経営課題にするために、専門講師を派遣する研修サービスも提供する。
「SDGs・TV」

日刊工業新聞2016年10月17日



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松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
ボーダフォン、コカ・コーラなどなど、SDGsと事業との関わりをWEBで発信しています。ボーダフォンは役員がどの目標達成に貢献するかコミットしています。海外企業は発信が上手いと感じさせられます。SDGsは2015年9月25付深層断面で紹介しました。その頃、日本のサステナビリティ先進企業の間では知られていませんでしたので、この1年で認知度は上がったと思います。

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