“IoT歯ブラシ”が日本の歯磨き習慣を変える!?

日用品大手、スマホを連動しオーラルケアでしのぎを削る

 あらゆるモノがインターネットを介してつながるIoT(モノのインターネット)が、歯や口の中を手入れするオーラルケア市場に、じわりと広がりつつある。P&Gは小型家電ブランド「ブラウン」から、“スマート電動歯ブラシ”の新商品を11月上旬に発売する。サンスター(大阪府高槻市、濱田和生会長)も4月に、デジタルデバイスなどを投入した。日用品大手メーカーは、消費者に普及したスマートフォンをIoTの端末として活用。オーラルケアの高度化でしのぎを削る。

 P&Gの伊東正明ヴァイスプレジデントは「口の健康は全身の健康に密接に関わっている。日本人の歯磨き習慣を根本的に変えていきたい」と力を込める。新商品の「ジーニアス 9000」は、本体に内蔵したモーションセンサーとスマホのカメラ機能が連動し、磨いた箇所や時間をリアルタイムで検知する「ポジション検知機能」を世界で初めて搭載した。

 スマホを鏡にセットして歯磨きを始めると、スマホのカメラ連動アプリケーション(応用ソフト)が顔の位置を認識。近距離無線通信規格「ブルートゥース」を接続に使ってブラシの位置を検知し、スマホ画面に磨き残し箇所の表示や磨く時間を表示する。

 サンスターが売り出したデジタルデバイス「ガムプレイ」は、歯ブラシのハンドル部分に装着すると内蔵する加速度センサーが歯磨きのデータを感知。ブルートゥースで連動したスマホの画面上に、歯科衛生士監修の歯磨き分析の表示や、ゲームなどが楽しめる。

 こうしたスマート歯ブラシには、歯磨きの「質向上」や「習慣づけ」といった消費者の期待が大きい。現在のガムプレイの売り上げは、販売計画比5割増で推移している。「意外にも、子どもの歯磨き習慣のための問い合わせが多い」(サンスター)と担当者も驚く。

 過当競争で消耗戦を強いられる日用品メーカーにとっても、スマート歯ブラシから入手できる情報は魅力だ。デバイスからユーザーの属性や利用情報のログをクラウドのサーバーに蓄積し、クラウド上で解析ができるようになれば、競争力の高い商品開発や販売促進につながる。

 ライオンの濱逸夫社長は、サンスターのガムプレイを例に挙げて「先にやられてしまった」と漏らす。業界内でも、スマート歯ブラシに対する注目度は高い。オランダのフィリップスも日本法人などを通じてブルートゥースを搭載した子ども用充電式電動歯ブラシを投入するなど、大手の動きが激しくなってきた。

 市場活性に一石を投じる動きは、今後も活発化しそうだ。
(文=山下絵梨)

日刊工業新聞2016年10月19日

明 豊

明 豊
10月19日
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IoTデバイスはまず毎日の生活に入り込むことが重要、しかも「健康」はキラーアプリの一つであることを考えると歯ブラシはかなり大化けする可能性があるように思うのだが。

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