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テスラがカリフォルニア州のEV工場を2倍に拡張、地元に計画案提出

2018年の生産台数は10倍の50万台に
テスラがカリフォルニア州のEV工場を2倍に拡張、地元に計画案提出

テスラの新型セダン「モデル3」

 米テスラモーターズが電気自動車(EV)工場の建屋面積をほぼ倍に拡張させる計画案を、工場のあるカリフォルニア州フリーモント市に提出していることが明らかになった。サンフランシスコ・クロニクル紙が7日報じた。

 テスラは3万5000ドルという普及価格帯で来年後半出荷予定の「モデル3」について、数十万台規模の大量の事前予約を抱えていることから、当初2020年としていた年産50万台の計画を2018年に前倒しする考えを打ち出していた。ウォール・ストリート・ジャーナルは市側の担当者の見解として、来週木曜日にこの計画案を議論する市の計画委員会で、テスラの提案が了承される見通しだと伝えた。

 この工場はもともと1963年にGMが設置。その後、日本車の輸入急増に伴い、1982年にいったん閉鎖されたが、自動車分野での日米協調の象徴としてGMとトヨタ自動車との合弁会社NUMMI(ヌミ)の工場に生まれ変わった。それが、GMの経営破綻により2010年に再度閉鎖となり、EV事業に乗り出したテスラが買収、2012年に「モデルS」の生産を開始した。

 現在は6200人が勤務し、「モデルS」とSUVの「モデルX」を製造。現在の建屋面積は450万平方フィート(41万8000平方m)で、新たに計460万平方フィート(42万7000平方m)の施設を増設する。さらに工場北側に隣接する25エーカー(10万1000平方m)の土地も買収済みという。テスラは工場増設に伴う雇用人数を明らかにしていないが、市計画局では3100人の雇用が新たに生み出されると推計している。

 2015年のテスラ車の生産台数は5万500台。それに対し、モデル3は予約開始1週間で32万5000台を超えるなど滑り出しは順調で、その低価格から消費者および投資家の期待が高い。イーロン・マスクCEOは2020年末までに年間100万台のEV生産を目指すと公言しており、フリーモント工場のほか、北米での別の工場や、欧州、中国での生産も見込まれている。さらに同社の長期戦略には、電動式のピックアップトラックや小型SUV、大型商用車などの市場投入も含まれるという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
2週間ほど前、「モデルX」の運転席に乗る機会があった。後部ドアのファルコンウィングを含め、内外装ともに豪華そのもの。まさにラクジュアリーEVです。カタログ値では1回の充電で500km、実際には400kmは軽く連続走行できるとのことですが、1000万円を超える値段と重量2.5トンという大きさにのけぞりました。担当者から「来年はお求めやすいモデル3が発売になりますから」と説明されたが、数十万台もの注文に果たして供給が追いつくのかなあ、と思っていた矢先の今回の報道。あとは工場増設のための資金調達が気になるところ。ハラハラさせながらも、テスラの拡大戦略は止まりません。

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