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3D仮想環境でロボットの操作シミュレーション

DARPAのコンテストでも参加チームが利用
3D仮想環境でロボットの操作シミュレーション

ロボットがクルマに乗るバーチャルシミュレーションの例

 DARPA(米国防総省国防高等研究事業局)の主催により、日本を含め世界25チームで競われる災害対応ロボットのコンテスト「DARPAロボティクスチャレンジ(DRC)」ファイナルズまで1カ月を切った。そこで参加チームの多くがロボット操作の予行演習用に使っているのが、3Dシミュレーションソフトの「Gazebo(ガゼボ)」だ。コンピューターグラフィックス(CG)による仮想の3D空間で、重力や摩擦をはじめとする現実世界の物理法則に加え、建物や設備、地形、自動車、照明といった周辺環境まで再現する。ロボットが搭載するセンサーのデータがリアルタイムに表示され、実物のロボットを使わずに、実際に近い環境で操作シミュレーションが行えるという。

 Gazeboは無料のオープンソース基本ソフトである「ロボットOS」(ROS)プロジェクトの一環として開発。DARPAがオープンソースロボティクス財団(OSRF)と2012年に契約し、Gazeboの開発に資金を提供している。現在、ROSとGazeboは、プログラミングが容易な双腕ロボットとして注目を浴びる米リシンクロボティクスの「Baxter(バクスター)」などの産業用ロボットや、サービスロボットにも一般的に使われ、触覚を再現するDARPAの先端義手開発プロジェクトでも利用されている。

 ちなみにDRCファイナルズが終わった後も、Gazeboの提供は続けられる予定。近いうちにウィンドウズをサポートするほか、空気力学シミュレーション、パフォーマンスの改善、よりリアルな質感を持つCGレンダリングなども可能にするという。
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
DARPAはこのGazeboを使って2013年に「バーチャルロボティクスチャンレジ」というロボットソフトのコンテストも実施。その後、コンテストの上位チームがボストン・ダイナミクス(現在はグーグル傘下)の「ATRAS」ロボットにロボットソフトを入れて、本番のDRCチャレンジに参加している。ただ、ビデオを見る限り、同ソフトによるバーチャル世界はそれほど高精度とは言えないような気もする。資金やコンピューターパワーの関係もあるのだろうが、よりいっそうの精度向上を望みたい。

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