「ロボット・オブ・エブリシング」の時代

アシスタントやパートナー、インフラとしてロボットが身近に。人間はどうあるべきか?

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モバイル型ロボット電話の「ロボホン」(シャープのウェブサイトから)
 お掃除ロボットやソフトバンクの「ペッパー」に代表されるように、ロボットがどんどん日常生活に入り込んでくるようになりました。介護現場で人の移動やリハビリを手伝ったり高齢者の相手をしたり、空港では音声認識機能を使って旅行客の案内をしたり荷物を運んだり…。さらに、2020年ごろには「走るロボット」の自動運転車が本格的に公道に登場すると見られています。それこそ、どこでも・何でも・ロボットの「ロボット・オブ・エブリシング」の時代をわれわれは迎えようとしているのでしょうか。

 実は「ロボット・オブ・エブリシング」とは、自動運転車や自律型ドローン、台車型搬送ロボットなどを開発するロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)が、ミッションとして掲げているフレーズ。「人が運転するあらゆる機械を自動化し、安全で楽しく便利なライフスタイルの創造」という意味が込められ、それを社長の谷口恒さんは「少子高齢化で人手不足という背景もあるし、人間が本来やるべきでないことをロボットに置き換えようというもの」と説明してくれました。

 人間のアシスタントやパートナーとして、もっとも身近な存在になる可能性のあるロボットが、「ペッパー」やシャープの「ロボホン」でしょう。ペッパーの販売実績はすでに1万台を突破し、法人向けの「ペッパー・フォー・ビズ」も1000社を超える企業で活躍中。5月下旬に発売された「ロボホン」は、身振り手振りをしながら対話したり、歩いたり踊ったりできる世界初のモバイル型ロボット電話で、19万8000円(税抜き)という価格にもかかわらず、予約注文は1000台を超えているとのことです。

 イノベーションやサブカルチャーに詳しい未来学者の川口盛之助さんによれば、とりわけ人型ロボットを歩いておしゃべりする携帯電話に変えてしまったロボホンのインパクトは大きいといいます。「スマホの最終形態とは(ゲゲゲの鬼太郎の)目玉おやじである、と言い続けてきた。その本質はナビゲートやコーチング、コンシェルジェ機能を持つポケットパートナーということ。ウェアラブル化してオーナーと一体化を目指すモノではなく、いわば信頼できる別人格でもあります。感情移入できるように、少し動ける生き物形態であることは必然でしょうね」(川口さん)と絶賛しています。ただ、「個性を持つことも同じくらい重要なので、カスタム化できるとさらにいい」と注文も付けていました。

 ロボホンはもともと、ロボ・ガレージ社長でもあるロボットクリエイターの高橋智隆さんとシャープが共同で開発したもの。高橋さんにはかつて、日刊工業新聞社が2014年3月に開いたイベントで講演していただいたのですが、その中で「ポストスマートフォンはロボット。いずれはスマホに手足が付いて、人型ロボットがその役目を果たすようになる」と強調していたのを鮮明に憶えています。それどころか、その3カ月後にソフトバンクがクラウドにつながる家庭用人型ロボットの「ペッパー」を発表し、ソフトバンクの孫正義社長と高橋さんの考える方向が一致していたことに非常に驚きました。やはり、ビジョナリーと言われる人たちには同じような未来が見えているのでしょう。
《続きは日刊工業新聞電子版のオピニオン欄でご覧になれます》

2016年09月05日付日刊工業新聞電子版

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

ロボットが身近になるにつれ、日刊工業新聞/ニュースイッチに先日掲載された「リノさんのロボット社会論#21 日本はロボットとの恋愛を禁止すべきか?」(http://newswitch.jp/p/5925)といった問題も現実的に起こってくるかもしれません。NHKのニュースで見たのですが、中国ではスマートフォンのチャットAIとの会話にはまってしまい、AIに恋してしまう若者が出てきているそうです。近い将来、本格的なロボット社会を迎えるにあたって、「ロボットに仕事を奪われる」といった脅威論を越え、ロボットあるいはその頭脳であるAIと人間とのかかわりや、人間はどうあるべきか、といった議論がなされていくことでしょう。

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