利き酒師も登場!百貨店や化粧品でAI、ロボットの活用進む

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三越伊勢丹は伊勢丹新宿本店で24日から、AIを使い来店者好みの日本酒を提案する
 百貨店や化粧品メーカーで人工知能(AI)など最新の技術を活用する動きが出てきた。百貨店は、AIを使った利き酒師が登場する。化粧品メーカーは、AIを活用した自然言語処理技術によって顧客がチャット形式で化粧方法などを相談できるアプリケーション(応用ソフト)の配信を始めた。いずれもコスト面や柔軟な顧客対応など課題は多い。今後、少子高齢化が進む中、顧客サービス分野で、各社が技術革新をどう活用していくかが成長戦略のカギとなりそうだ。

ITを使った“未来の生活”提案


 百貨店でAIやロボットの導入が進んでいる。知識やもてなしといった、販売員のスキルが問われる接客分野で、IT技術を導入する可能性はどれほどあるのか。また、ITを使った“未来の生活”の姿について、百貨店ならではの提案がどの程度できるのか。各社は試行錯誤を重ねている。

 三越伊勢丹は24日から期間限定で、伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)でAIを使った日本酒の紹介をする。来店者に、担当者が選んだ3種類の日本酒を試飲してもらい、それぞれの「甘味」「好み」などをタブレット端末上で5段階評価してもらう。そのデータを基に、売れ筋の30品目からおすすめの商品を画面で案内する。

 「(来店者が)自分に合う酒を見つけたり、利き酒師らによる接客に関心を持ったりするきっかけになれば」と同本店の中本光昭食品・レストラン営業部計画担当マネージャーは期待する。「AI利き酒師」と銘打ったコーナーを設け、担当者が付いて案内する。9月にはワインの提案にも活用する。

酸味やうまみなどを数値化


 システムにはカラフル・ボード(東京都渋谷区、渡辺祐樹社長、03・6419・7242)が開発したAIアプリ「センシー」を搭載した。伊勢丹新宿本店では2015年9月から、婦人服売り場などでセンシーを導入している。カラフル・ボードの石井裕イノベーション推進部事業開発/PRリーダーは「酸味やうまみなどを数値化するため、試飲を重ねた」と話す。ファッション以外の売り場でセンシーを導入するのは初めてだ。

 伊勢丹新宿本店はレイトロン(大阪市中央区、吉田満次社長、06・6125・0500)のコミュニケーションロボット「チャピット」などを、8月下旬まで展示販売している。同本店の石島克哉ソリューション営業部セールスマネージャーは「未来の生活について、情報発信したい」と構想を練る。

 高島屋は新宿店(東京都渋谷区)で14日まで開いた「暮らしとロボット展」に、受け付けロボットを配置した。ココロ(東京都羽村市、山田敦也社長、042・530・3911)が開発した「アクトロイド」に、実際のインフォメーション係のお辞儀の角度などの動きを搭載した。

 入り口には、東京都立産業技術研究センターが試作した案内ロボット「チリンロボット」も設置した。イベントなどに関する質問をすると音声で答える。

ロボットの浸透「まだ難しい」


 接客現場へのロボットの浸透について、高島屋の田所博利MD本部子供・情報&ホビーディビジョン課長は「まだ難しい」と語る。システムをつかさどるクラウドとの通信がうまくいかなかったり、顧客の質問が聞き取れなかったりといった技術面の課題がある。特に大人の場合は、ロボットに話しかける気恥ずかしさもあり、回答がうまく返ってこないとすぐに立ち去ってしまうという。情報をこまめに更新する手間もかかる。

 AIやロボットの導入について、三越伊勢丹と高島屋は「人による接客を否定する試みではない」と強調する。顧客の要望に柔軟に応える販売員の技能は、ロボットやAIにはまだ追いつけない。一方で、高島屋の田所課長は「ロボットに関心を持つ人は多い」とも語る。百貨店の売り場という一般の人が訪れやすい環境を生かし、生活に関わる最新技術の活用や提案に知恵を絞っている。
(文=江上佑美子、山下絵梨)
<続きは日刊工業電子版にて掲載>

日刊工業新聞2016年8月17日

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

自分にぴったりの好みのお酒や洋服を選んでくれるサービスは嬉しいものですが、偶然の出会いや、販売員さんの持っているストーリーに動かされて購買に至ることもまた楽しいもの。

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