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《明治期の灯台#02》掛塚灯台、黎明期を照らした光

 江戸時代、静岡県を流れる天竜川河口にあった掛塚港。この港は、江戸や大坂との物資の中継地として栄えていた。

 遠州灘は波が荒く、掛塚港への出入りや、沖を運航する船の難所であった。そこで1880年(明13)に旧幕臣の荒井信敬は、私財を投じて灯台を設置した。この流れをくみ、1897年に官設の灯台として建設されたのが、掛塚灯台(静岡県磐田市)だ。

 風の強い遠州灘は、風力発電が盛んだ。2002年に現在の場所に移設した掛塚灯台は、風車を従えるかのように海に向かって建つ。下部はコンクリート製、上部は鉄製で高さは約16メートル。

 上部に浮き上がる錆は灯台の置かれる厳しい環境を物語る。1万5000カンデラの光を放つ光源は発光ダイオード(LED)で、3秒点灯、3秒消灯を繰り返し、約28キロメートル先まで到達する。
(写真・文=森住貴弘)
日刊工業新聞2016年8月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
残り少ない夏休み。岬巡りと灯台巡りをぜひ。

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