人工知能「ワトソン」をがん治療に!米国で共同プロジェクト

患者のDNAデータもとに最適な治療法を数分で

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人間1人の遺伝情報は15億文字または1071万4286回のツイートに相当(IBMの資料から)
 米IBMの人工知能(AI)コンピューター「ワトソン」を医療現場でのがん治療に活用するための共同プロジェクトが米国で発足した。クリーブランドクリニックやニューヨークゲノムセンター、ワシントン大学など、米国内の14の著名大学・医療機関が参加。がん患者のゲノム(全遺伝情報)の変異をもとに、ワトソンが患者個人に合った適切な治療法の選択肢を臨床医に提供する。こうした作業にこれまで数週間かかっていたのを、わずか数分に短縮できるという。

 5月5~6日にニューヨークで開かれたワトソン関連の「ワールド・オブ・ワトソン」イベントで発表された。プロジェクトに参加する医療機関の臨床医が、こうしたサービスを年内にも受けられるようにする。当面対象とするがんの種類は、リンパ腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、膵臓がん、卵巣がん、脳腫瘍、肺がん、乳がん、大腸がん。ワトソンが、がん患者のDNA配列から遺伝子の変異を読み取り、それに治療ガイドライン、基礎研究、臨床研究、医学論文誌、患者情報などを照らし合わせて、最適な治療法の選択肢をリストアップする。

 今までの例では、がん患者のDNAの変異を解析し、適切と思われる治療法に絞り込むまで数週間かかっていた。いかに早く適切な治療をするかが患者の生死を分ける場合も多く、それが数分に短縮されれば効果は大きいと見られる。さらに、手術や化学療法、放射線治療がうまくいかなかった患者でも、がんの原因となっている遺伝子変異を標的とする治療を施すことで、症状を改善できる可能性もあるという。

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

日本では1981年以来、がんが死因の第1位。高齢化の影響か、がん患者やがんによる死亡者が毎年増え続ける先進国でも有数の「がん大国」だ。米国では患者が少ないため、今回のプロジェクトに日本で多い胃がんが含まれないのは残念だが、こうした医療分野にもコンピューターや人工知能をどんどん利用していってほしい。

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