量子技術で事業化探る…三井物産、電子証票の実証・素材開発
三井物産は量子技術を生かしたソリューションの開発を活発化している。量子トークン(電子証票)の実証に加え、素材開発など幅広い分野での取り組みを進めている。組織体制の整備なども進めつつ、新たなイノベーション創出が期待される分野としてさまざまな事業化の可能性を探る。
量子技術は、量子力学という特殊な物理法則を利用し、通信や計算などに活用する技術だ。代表的な量子技術として量子コンピューターなどがある。計算を高速化できたり、情報を暗号化できたりするなどの特徴があり、画期的なイノベーション創出につながる点が期待される。
三井物産はこれまで量子技術に取り組む体制整備を進めてきた。量子イノベーション室を設立したほか、量子技術開発の米クオンティニュアムへの出資なども実施してきた。
その中で三井物産が取り組む一つが、量子トークン(電子証票)だ。米クオンティニュアムやNECと共同で、複製不可能な量子トークンの実証実験を実施した。金融取引や医療データの保護といったセキュリティー分野などで2030年ごろまでの事業化を目指す。
その他でも量子に関わる分野として、すでに量子乱数や量子化学計算に関わるソフトウエア販売事業などを開始した。また化学品素材を開発するためのシミュレーションソフトの共同開発にも取り組む。他方、物流などのインフラサービスや、AI(人工知能)を活用したデータ学習の効率化などでの活用も想定している。
量子コンピューターに関連する市場は中長期的に拡大していく分野と期待されている。量子ビットそのものの質を更に向上させることなどエラーへの対応も重要と捉えている。
日刊工業新聞 2025年06月04日