普通鋼電炉の通期見通しに影、11社中6社が経常減益…事業構造で分かれた明暗
普通鋼電炉業界では人手不足に伴う建設工事の先送りの影響が建材需要に影を落とす。普通鋼電炉メーカー11社(非上場含む)の2026年3月期業績予想は、6社が経常減益を見込む。中国で過剰生産された鋼材の大量輸出による市況悪化も、収益を圧迫する見通し。一方、米国に拠点を持つメーカーでは追加関税によって輸入材が入りにくいことが業績にプラスに寄与するなど、事業構造の違いで明暗が分かれる。
東京製鉄は建設工事の遅延影響などで国内需要の低迷が続くと想定し、経常減益を見込む。製品価格と原料価格の差である「メタルスプレッド」の縮小により、営業利益ベースで約201億円のマイナス影響を織り込んだ。中国からの高水準の鉄鋼輸出の継続や米国の関税措置を背景とした海外鋼材市況の悪化も懸念する。
中山製鋼所は下期にかけて若干の需要回復を期待するものの、建設関連の改善は厳しく、需要が25年3月期を上回ることは難しいと想定。さらに「安価な中国材のアジア市場への流入が続き、直接および間接的に販価引き下げへの影響が拭えない」(箱守一昭社長)とみて経常減益を見込む。
合同製鉄は労務費や電力料金の上昇などが重荷となり経常減益と予想する。ただ構造用鋼で需要底打ちを見込むほか、線材や形鋼の販売で量的な挽回を図る計画で「価格重視で収益確保を目指してきたが、今後は売り負けずに個別の数量回復にこだわっていく」(内田裕之社長)とする。
一方、共英製鋼はベトナムや北米での需要環境の好転気配の広がりなどを踏まえ経常増益を見込む。廣冨靖以社長は「当社は(日本とベトナム、北米の)世界3極体制による地産地消を基本とし、分断された国際市場であってもそれぞれの国でモノを作る事業をうまく回せばやっていける」と話す。
大和工業は安価な中国鋼材の流入に起因する厳しい価格競争に加え、インドネシア新政権のインフラ投資予算の削減の影響で営業減益を見込む。一方、持分法適用会社を持つ米国では追加関税が追い風となることに加え、「半導体工場やデータセンターの建築需要などで景況感も良い」(古寺良和常務執行役員)ことが業績の支えとなり、経常増益を見込む。
中部鋼鈑は操業を停止していた電気炉が本格稼働することに加え、主力の産業機械や建設機械向けが緩やかな回復基調にあるため経常増益を見込む。追加関税の影響は不透明だが、米国向けの輸出規模は小さく、影響は限定的と想定する。
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