愛知製鋼・三菱製鋼は営業増益、特殊鋼5社・通期見通しの全容
特殊鋼メーカーが高付加価値品の拡販やコスト低減を通じた収益確保に注力する。特殊鋼5社の2026年3月期連結業績予想は、見通しを公表した3社のうち2社が営業増益を見込む。自動車向けなどの需要が振るわない中、販売先の拡張にも取り組んで利益改善を急ぐ。一方、トランプ米政権の追加関税による最終製品の販売減の影響が想定されるなど、事業環境の不確実性は高まっている。
愛知製鋼は26年3月期営業利益を前期比16・5%増の140億円と見込む。トヨタ自動車グループ以外への拡販などによる販売数量の増加で24億円、工場原価の低減で27億円の利益改善を計画する。
一方、米国の追加関税の影響は織り込んでいない。最終製品を含め幅広い商品が追加関税の対象となる中、後藤尚英社長は「影響が広範囲で読むのが難しい」と話す。
三菱製鋼は営業利益を前期比12・7%増の74億円と見通す。建設機械向け需要の低迷が続くと想定する一方、量産を開始した精密バネ部品の販売や特殊合金粉末の新たな販路獲得が収益貢献する。損失計上が続いたドイツのバネ拠点を25年3月期に撤退したこともプラスに寄与する。
追加関税に対しては、自動車やバネなどへの関税適用で約15億円のマイナス影響を織り込んだ。一方、「米国拠点への生産移管を通じて需要を獲得するチャンスもある」(青池慶介常務執行役員)とみる。
東北特殊鋼は営業利益を前期比12%減の11億円と見込む。自動車の電動化に伴う内燃機関向け特殊鋼需要の減少といった構造的要因もあって、厳しい需要環境が続くと想定する。
大同特殊鋼は関税政策や為替変動など不透明な要素が多いため業績予想は上期分のみ公表。25年4―9月期営業利益は前期比31・5%減の125億円と見込む。鋼材は日系メーカーの中国シェアが低下している自動車のほか、産業機械向けも需要が低調と想定。自由鍛造品は米ボーイングのストライキによる生産減などが押し下げ要因になる。下期分は算定可能な段階で公表する。
神戸製鋼所の子会社の日本高周波鋼業は、大同特殊鋼の100%子会社となる26年1月―3月期に上場廃止となる予定のため、業績見通しを公表しなかった。