野村HDは当期利益最高…個人向け好調、証券10社の前3月期の全容
資産管理・運用シフトで収益
証券大手・準大手10社の2025年3月期連結決算は、大手対面証券を中心に個人部門が好調だった。収益軸を売買手数料から資産管理・運用に移し、株価などに左右されにくい体質を構築している。M&A(合併・買収)の活性化などを背景に投資銀行部門も伸びた。26年3月期は米トランプ関税の影響を見極める必要があるほか、各社で判明した口座への不正ログインの対応も課題となる。
野村ホールディングス(HD)は当期利益が過去最高だった。個人部門は投資信託などのストック収入が前期比29%増。「(個人、資産管理、法人の)3部門がいずれも好調。業績の安定度を見せられた」(北村巧財務統括責任者〈CFO〉)
大和証券グループ本社は経常利益が19年ぶりに2000億円を超えた。「コンサルティング活動を強化している」(吉田光太郎CFO)。投資銀行部門は総営業収益、経常利益が過去最高だった。
みずほ証券は国内の投資銀行や個人部門が伸び、経常利益は過去最高。当期利益は前年に繰延税金資産を計上した反動で減益だった。三菱UFJ証券ホールディングス(HD)は大型M&Aへの関与が寄与、SMBC日興証券も投資信託などの販売が伸びた。
国内株の売買手数料無料化で競争が激しいネット証券は手数料の減少を補うため、顧客基盤のさらなる拡大を目指す。既存の連携の深化に加え、新たな提携に向けた動きも活発化する可能性がある。
SBIホールディングス(HD)は3月末で1409万ある証券口座を早期に3000万まで伸ばす。伸びしろの約半分の800万口座を既存の提携の発展と新規提携先の拡大で達成するとした。北尾吉孝会長兼社長は三井住友フィナンシャルグループ(FG)と連携して手がける総合金融サービス「Olive(オリーブ)」について「さらに進化させ、大きく育てる」と強調。これとは別に新たな提携も模索する考えを示した。
マネックス証券はクレジットカードを使った投資信託積み立てなどで親会社のNTTドコモとの協業を広げる。松井証券もJCBと金融商品仲介業の契約を結びクレカ積立サービスを5月に始める。
26年3月期はボラティリティー(変動性)が大きい。トランプ米政権が関税施策を発表後、株価は乱高下した。みずほ証券の上野哲CFOは「取引のパイプラインは積み上がっている」とする。野村HDの北村CFOは「適切な情報提供で顧客の売り急ぎを抑え、個人部門では継続してストック資産を純増できている」と話す。
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