ニュースイッチ

商品値上げで収益確保…製紙6社の通期見通し、5社営業増益

商品値上げで収益確保…製紙6社の通期見通し、5社営業増益

イメージ

大手製紙会社が商品の値上げを通じた収益確保に注力する。製紙6社の2026年3月期連結業績予想では5社が営業増益を見込む。前期に続き家庭向け紙製品や段ボールなど幅広い商品で、物流コストや人件費の増加を販売価格に反映させる。デジタル化に伴う印刷用紙の需要低迷が続く中、事業構造の改革による基盤強化も急ぐ。一方、トランプ米政権の追加関税に伴う経済不安が海外事業の先行きに影を落とす。

王子ホールディングス(HD)は26年3月期の営業利益を前期比10・8%増の750億円と見込む。前期の商品値上げに続き「26年3月期もコスト増を全般的に新たに反映させる」(大島忠司常務執行役員)など、価格要因が国内営業利益を215億円押し上げる。

ただ海外事業ではパルプ市況の悪化などの価格差影響が、営業利益を165億円下押しすると想定する。「米国の追加関税を背景に中国などでパルプの買い控えが生じている」(同)と警戒する。

レンゴーは売上高が初の1兆円台に到達する見通し。段ボールの値上げ浸透など価格要因が営業利益ベースで96億円のプラスに寄与する。一方、設備投資に伴う減価償却費の増加や、欧州経済の低迷を背景とした重量物の包装事業の採算悪化などを受けて、当期利益は減益を見込む。

日本製紙は家庭向け紙製品や紙パックの値上げのほか、豪州の段ボール子会社オパールの操業効率の改善や拠点統廃合による合理化を通じ、当期利益が前期比2・6倍に拡大する見通し。米国の追加関税の直接影響は限定される見込みであるものの「オパールの事業や中国の経済・需給などにどう影響するか注視が必要」(板倉智康常務執行役員)とした。

国内需要の減少や物流の人手不足が進む中、大王製紙と北越コーポレーションは24年に締結した業務提携契約に基づき構造改革を推進する。すでにトラック輸送の往路・復路の連携などを開始し、北越コーポレーションは25年3月期に営業利益で13億円の改善効果があった。今後は「OEM(相手先ブランド)生産の拡充や薬品の共同購入などで25年3月期を上回る効果を目指す」(北越コーポレーションの一木康司執行役員)とした。

日刊工業新聞 2025年05月19日

編集部のおすすめ