米マジックリープがARデモ映像公開 ースマホアプリと連動、通販も自在に

ハードウエア未公開だが、MS「ホロレンズ」の対抗馬となるか

 ハイテクスタートアップの米マジックリープ(Magic Leap、フロリダ州)が、独自のAR(拡張現実)技術によるデモ映像をユーチューブに19日公開した。同社が開発中のARヘッドセットによるもので、映像の質の高さとともに、スマートフォンアプリなどとの連携、幅広い応用の可能性には目を見張るものがある。

 ただ、ヘッドセットの方式や、技術的な仕組みは未公開のまま。「この技術は本物か?」と首をかしげたくなるが、同社によれば「特殊効果や画像の合成は一切ない」のだとか。米グーグルをはじめ、大企業や著名ベンチャーキャピタル(VC)から多額の資金調達を受け、同社に対する期待は非常に高いようだが、謎も深まる一方だ。

 「ある朝(A New Morning)」と題された2分ちょっとの映像は、4月8日に撮影されたという。映像では、まずヘッドセット越しにデスクに視線が移り、メールやユーチューブ、チャットアプリからの通知一覧が空間に表示。そこで四半期の業績報告のメールを開くと、業績のグラフが現れ、過去の業績とあれこれ比較するシーンが映し出される。

 その上には曇りのお天気マークとともに、日没時間(午後7:40)を知らせるサインが。すると「お父さん、私のエベレスト登山プロジェクトを見てみて」と娘からメールが入り、エベレストの3DCGが出現。歴代の著名クライマーの登攀ルートと、音声紹介が流される(田部井淳子氏、三浦雄一郎氏の名前もある!)。次に視線を右に移してネット通販にアクセスし、3DCGで立体的に表示された靴を選んで即注文。最後は天井近くを何匹ものピンクのクラゲが優雅に泳ぎ回る映像で終わっている。

 マジックリープはこれまでにも、実際の部屋の中に天井から出現するCGのロボットを銃で倒すゲーム映像や(「ホロレンズ」でも同じようなデモが発表された)、オフィスの中で太陽系の惑星がゆっくり動くCGなどを公開している。今回のデモ映像はより実用的で、メールやコミュニケーション、通販といった日常生活にも同社の技術が適用可能なことを強調しているようだ。

 ただ、表示方式は、「グーグルグラス」「ホロレンズ」のように、メガネやヘッドマウントディスプレーに組み込まれたプリズムに映像が投影されるものとは違うようだ。同社はハードウエアなどの技術詳細を公開していないが、ヘッドセットからユーザーの目の網膜に光を直接照射してCGを見せる方式のディスプレーだとも言われている。

 マジックリープは2010年の創業以来、早い段階でグーグルやクアルコム、それにシリコンバレーの有力VCであるアンドリーセン・ホロウィッツ、クライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズなどから5億4000万ドルを資金調達。その後のラウンドで、中国のアリババグループ、ワーナーブラザースなども出資し、累計調達額は14億ドルにも達している。

"A New Morning"


【参考】4年前に公開されたグーグルの"Project Glass: One day..."

ニュースイッチオリジナル
マジックリープ

藤元 正

藤元 正
04月23日
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フェイスブック傘下のオキュラスがVRヘッドマウントディスプレーを発売したり、MSがホロレンズをデベロッパー向けに出荷したり、さまざまな会社からVR/AR/MRの関連商品が出され、今年はまさにVR元年ともなっている。そんな中、マジックリープは一般向け「グーグルグラス」で見事に失敗したグーグルの別働隊として、その名の通り、飛躍(リープ)を遂げられかどうか。

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