営業赤字150億円見通しのローム、社長に東氏…「痛みを伴う改革もあると思う」
ロームは東克己取締役専務執行役員(60)が4月1日付で社長に昇格する人事を決めた。松本功社長(63)は相談役に就く。同社は電気自動車(EV)市場の成長鈍化などで、2025年3月期連結業績の営業損益が150億円の赤字になる見通し。営業赤字は12年ぶりで、業績立て直しが迫られる中、経営体制を刷新して構造改革に取り組む。東氏は「適正な利潤を得られる会社へ戻す。痛みを伴う改革もあると思う」と語る。
東氏は今後、外部への生産委託や工場閉鎖も視野に入れた生産体制の再構築などの構造改革に取り組む。松本氏は東氏を「決断力があり、改革にふさわしい人物」と評価する。
松本氏は20年の社長就任以降、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体をはじめとした成長分野への積極投資で、01年3月期をピークに停滞していた連結売上高の最高値を更新。事業拡大に貢献した。ただ、24年3月期以降は業績が悪化。松本氏は「市況の読みが甘かった」とし、経営刷新のため社長職の辞任を申し出た。
【略歴】東克己氏 89年(平元)名古屋工大工卒、同年ローム入社。13年取締役、17年専務、19年取締役専務執行役員。愛知県出身。
素顔/ローム社長に就任する東克己(あずま・かつみ)氏/決断力・ひたむきさ武器
2011年のタイ洪水からの立て直しに追われた経験を「一回りも二回りも成長できた」と振り返る。日本自動車工業会との合同対策本部で議長を務め、泥水に漬かったタイ工場の復旧に取り組んだ。「その場その場でアクションをすぐに決めていった」と松本功社長が評価する決断力を武器に、構造改革の先陣を切る。
同時に取締役に就任した盟友である松本社長から就任の打診を受けたのは、24年10月だったという。国内主力生産子会社のトップとして風土改善に取り組むまっただ中だったため、「もう1年待ってほしい」と固辞した。だが「松本社長の考えは変わらない。より大きな役割を担う必要が出てきた」と受け入れた。
好きな言葉は「一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いいかげんだと言い訳が出る」。顧客の要求に応えようとひたむきに働く姿勢で、ロームを再び高収益企業へ転換させる。(京都・友広志保)
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