新型自律ロボット全機種を生産…安川電機が200億円投資、新工場で実践するコンセプト
安川電機は本社のある八幡西事業所(北九州市八幡西区)に約200億円を投じてロボットの新工場を建設中だ。新型自律ロボット「モートマンネクスト」の全機種と小型ロボットを生産する。モーターをロボット生産に合わせて一貫生産するという、これまでにない取り組みにも挑戦する。変種変量生産など同社が提唱する生産現場の自動化コンセプト「アイキューブメカトロニクス」を実践する。また顧客向けのショールームとしても位置付ける。
現在、八幡西事業所内のロボット第1工場では、可搬質量25キログラム以下の小型ロボットを生産する。自社の協働ロボットが、ハンドリングロボットや溶接ロボットなどを製造する光景が繰り広げられている。2026年度に稼働予定の新工場に、小型ロボットの生産を全面移管するとともにモートマンネクストの全機種も生産する。
これまでの生産と大きく異なるのが、ロボットの生産に合わせてモーターを一貫生産する点だ。現在モーターは八幡東事業所(同八幡東区)や入間事業所(埼玉県入間市)で量産する。ロボット向けは量産の中の一部に過ぎず、ロボット事業部がロボットの生産に合わせて発注する形だった。従来の大量生産用とロボット用モーターのみでの生産では生産性が異なる。上席執行役員の岡久学ロボット事業部長は「量が異なるものを一緒に生産することが大きなチャレンジだ」と語る。
新工場建設に対する同社の狙いは、生産能力の拡大ではなく、変種変量生産を自社で実証することにある。岡久事業部長は「量を増やすためというよりも質をどれだけ高められるかを実証する場になる」と展望する。質の向上に加え、継続的に製造ラインが停止する「チョコ停」やライン停止を極力減らすことで、生産量が減っても投資対効果を高めて生産性向上につなげる。岡久事業部長は日本の製造業の課題は「変種変量に対していかに変化に強い工場を作れるかだ」と語る。それを自らが実証し、顧客への提案につなげたい考えだ。