中国メーカーの猛威やまず…販売低迷の日系自動車、迫られる事業再構築
2024年の自動車業界はコロナ禍や半導体不足が緩和し総じて好調だった23年から一転し、厳しい環境となった。要因の一つが中国市場の苦境だ。新エネルギー車(NEV)が急伸し、ガソリン車中心の日系各社の販売は低迷。事業再構築も迫られた。中国メーカーの猛威はやまず、世界市場にも影響を及ぼしている。
中国市場は政府の消費振興策や自動車各社の新車投入などにより需要は堅調だ。けん引役は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などのNEV。中国メーカーが伸長する中、日系メーカーは苦戦した。
マークラインズによると日系各社の1―10月の中国累計販売台数はトヨタ自動車が前年同期比9・3%減、ホンダが同31・0%減、日産自動車が同10・0%減。トヨタとホンダは9カ月連続、日産は7カ月連続で減少し低迷が続いた。
一方で比亜迪(BYD)をはじめとする中国メーカーは躍進が続く。1―10月の市場シェアは中国系が64・6%と前年同期比9・0ポイント上昇する中、日系は11・4%、ドイツ系が15・4%とともに3ポイント近く落とした。
販売不振を受けて、ホンダや日産は25年3月期の中国販売目標を期初目標から引き下げた。販売不振に価格競争の激化が重なり、収益性は悪化。日産は中国江蘇省常州市にある工場を6月に閉鎖した。ホンダも既存2工場の閉鎖・休止を決める一方で、EV専用工場を稼働し電動車シフトを加速する。
中国メーカーの猛威は中国市場だけにとどまらない。欧州市場や日系メーカーの牙城である東南アジア市場に勢力を拡大。EV需要の鈍化や補助金縮小も重なり、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が国内工場の閉鎖を表明した。
BYDは11月、創立30周年式典に併せて1000万台目のNEVを完成し勢いを加速している。日系をはじめ伝統的な自動車メーカーがどう競争力を維持するか。難しいかじ取りが求められている。
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