アップルのクラウドサービス、「アマゾン・MS・グーグル」依存から抜け出せるか

自前DCの建設急ぎ、かたやスパイ対策でサーバー開発も検討

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iCloudの新旧ロゴ(左から2011以降、2013以降、2014〜現在)
 iPhoneで驚異的な収益を上げ、世界のIT企業トップの1社とされるアップルだが、当然弱みもある。代表的なのは、クラウドインフラが他社任せという点だ。iPhoneやMacのユーザー向けに提供するiCloud、音楽・映画配信サービスのiTunesは、アマゾン、グーグルといったライバルのクラウドサービスに大きく頼っている。

 その依存度を下げようと自前のデータセンター(DC)建設を急ピッチで進める中、新たな難題が浮上してきた。サードパーティー製のサーバーで処理されるデータを米連邦政府機関が傍受する懸念が高まっているためで、こうした課題に対応するため、自ら機密性の高いサーバー開発の検討に入ったとも報じられている。

NSAのデータ収集活動を懸念


 アップルが自前のサーバー開発に乗り出すかもしれないと23日報道したのは、ハイテクニュースサイトのThe Information。カリフォルニアでのテロ実行犯が持っていたiPhoneのロック解除問題をめぐって、FBIや米連邦政府と対立状態にあるアップルだが、ユーザーのプライバシー保護の観点から、国防総省の情報収集機関である国家情報局(NSA)のデータ傍受にも神経を尖らせている。

 とりわけ、サードパーティー製のサーバーを使った場合、データを抜き取って密かに外部に送信するチップやスパイウェア入りのファームウェアが、サーバーの調達過程で仕掛けられるケースがある。対応策として、アップルでは導入するサーバーのマザーボードを写真に撮影し、それぞれ何のチップであるかいちいちチェックさせているという。

 自前で開発したサーバーであれば、こうした懸念がとりあえずは払拭できるはず。ただ、政府側としてはアップルの非協力的な態度を快く思わないだろうし、データ傍受の技術開発も進めるNSAの活動を先々にわたって完全に排除できるかはどうかは未知数だ。

「マックイーン」計画で3社依存から「大脱走」


 これに先立って、アップルは自前のDC建設も急ピッチで進めている。現在、39億ドルをかけて、米アリゾナ州とアイルランド、デンマークに新しいDCを建設中。早いものは今年中に完成の予定だ。Venture Beatによれば、これとは別に中国と香港にもDC建設用地を確保しているという。

 また、Re/codeによれば、アップルは最近になって、「マックイーン(McQueen)」と名付けた社内プロジェクトをスタートさせた。俳優のスティーブ・マックイーンにちなんだ命名で、彼が主演の映画『大脱走(The Great Escape)』(1963年)のように、自前の技術でDCを設計し、DCの運用ソフトも開発しながら、数年がかりでクラウドサービスを委託する3社への依存体質から脱却を目指すというものだ。

 そもそも、iCloudをめぐっては、サービスがスタートした2011年から、アマゾンウェブサービス(AWS)やマイクロソフト(MS)のウィンドウズアジュール(Azure)が多くの部分を担うようになったとされる。

 実際、アップルが2015年9月に公開したiOSセキュリティー白書の41ページ目には、iCloudのサードパーティーストレージとしてアマゾン(AWS)のS3とアジュールが明記されている。Venture Beatによれば、iTunesのクラウドサービスのほとんどはアジュールが担っているとされる。

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