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無人で飛ぶ次世代の電動垂直離着陸輸送機、DARPAが米企業と研究開発契約

あの「オスプレイ」の後継機に? 技術成果は他の航空機にも転用
無人で飛ぶ次世代の電動垂直離着陸輸送機、DARPAが米企業と研究開発契約

VTOL X-Planeのコンセプトイメージ(DARPAのサイトから)

 多数の電動ローターが取り付けられた翼を垂直・水平方向に切り替えることで垂直離着陸(VTOL)を行い、しかも無人で飛行する電動ハイブリッド型の軍用輸送機が近い将来、登場するかもしれない。米国防総省国防高等研究事業局(DARPA)が「VTOL 実験機(Xプレーン)」プロジェクトのフェーズ2デザインについて、米オーロラ・フライト・サイエンシズ(Aurora Flight Sciences、バージニア州)と契約を結んだと3日に発表した。2018年の試験飛行を見込んでいる。

 このプロジェクトでは、在日米軍も輸送機として運用しているティルトローター機「V-22オスプレイ(Osprey)」とはまったく異なる設計思想を採り入れ、航続距離や飛行速度を含めた飛行能力や効率を大幅に向上させるのが狙い。技術成果については、ほかの航空機への転用も進めるという。

 DARPAの想定するVTOL Xプレーンのスペックは、最高飛行速度が300-400ノット(時速555-740km)。総重量は10,000-12,000ポンド(4.5-5.4トン)で、その40%に相当する物資を運搬できる能力を求めている。

 一方、オーロラ社は無人航空機(UAV)も手がける航空機の研究開発型企業。今回契約対象となったのは、同社が開発を進める「ライトニング・ストライク(LightningStrike)」で、機体後部の2枚の大きな主翼と、前方に付けられた2枚の小さなカナード(先尾翼)からなる独特のデザインが目を引く。

 オーロラ社の設計デザインによれば、V-22オスプレイにも使われているターボシャフトエンジンを機体に設置。4,000馬力に相当する3MWの電力を発電し、後部主翼に18基、前方カナードに6基、それぞれ横一列に取り付けられたプロペラ型のダクテッドファンを回転させて推力を生み出す。翼の角度を変えることで、池上でのタクシーイング、離陸、ホバリングから前方への飛行と移行するだけでなく、飛行中に後退まで行える。さらに、翼に付けられたファンの推力を個別に制御することで、操縦性とエネルギー効率の向上も図るという。

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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
 そういえば、「エヴァンゲリオン」に出てくる戦略自衛隊のVTOL攻撃機が、使徒を迎撃する際、後退して飛んでいたのを憶えている。もちろん、アニメのそれよりは「ライトニング・ストライク」のデザインのほうが実現性は高い。ただ、1981年に研究開発がスタートした「オスプレイ」でさえ、米軍に配備されてから何度も墜落しているので、VTOL Xプレーンが実用機になるまでには、かなりの時間がかかるかもしれない。

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