AIの「機人」と共存する未来

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Ex MachinaのFacebookから
 米グーグルの完全無人運転車に搭載される人工知能(AI)について、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が法律上の運転手とみなす見解を明らかにしたという。画期的な解釈であり、非常に驚かされた。

 会社などは法律上、自然人でなくとも権利義務の主体となれることから法人と呼ばれる。運転手代わりのAIはさしずめ「機人」といったところか。

 機械の麗人といえば、女性アンドロイドの「エイヴァ(Ava)」が思い浮かぶ。日本未公開の英SF映画『エクス・マキナ(Ex Machina)』(2015年)の主人公で、世界最大手の検索サービス企業のCEOが開発したという設定。アンドロイドが先進的なAIかどうか判定するチューリングテストを任された若いプログラマーに対し、”彼女“が寄せた恋愛感情は本物か、単なるシミュレーションか、あるいは別の狙いがあって“ふり”をしているだけなのか…。

 とはいえ、人間そっくりのアンドロイドを作るのは至難の業。作り物の顔を人間にどんどん近づけると不気味になる現象は「不気味の谷」といわれるが、ロボットに詳しい米国人ジャーナリストのリノ・ティブキーさんは本紙の連載で、この現象が解消されれば「人でない存在が、ただそこにいるだけ」になると予測する。

 映画の中で、エイヴァは人の考えや表情、行動をデータとして取り込みつつ、外見でも機能でも人に近づき、そして人を超えていく。そんなニュータイプの「機人」を社会に受け入れる時代が、いずれやって来るのだろうか。

日刊工業新聞2016年2月16日付産業春秋

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

【後半のネタバレ注意】SF映画の金字塔の一つと言えるのが『ブレードランナー』(1982年)。2019年が舞台のこの映画に登場する「レプリカント」はロボットではなく、遺伝子工学で作られた人造人間であり、うちルトガー・ハウアー演じるロイ・バッティは、実は今年の1月8日生まれ。遠かった映画の未来が、どんどん過去に追いやられる様はなんとも不思議な感じがする。エクス・マキナとブレードランナーは、創造物がその創造者を殺す点で共通するが、「神殺し」は新種の生命体が負う宿命なのか。だとしたら両者の共存は…。

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