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女性学長109人が発揮するそれぞれのリーダーシップ

女性学長109人が発揮するそれぞれのリーダーシップ

教職員や学生のモデルとなる、新時代の女性リーダーシップを議論した

お茶の水女子大学グローバル女性リーダー育成研究機構は、同大出身の7学長による女性学長サミットを開いた。新時代の女性リーダーシップを議論した。日本の国公私立大学長782人のうち、女性は約14%の109人。少数派だが新型コロナウイルス感染症の対応など、独自のリーダーシップを発揮したトップが少なくない。

同サミット参加の7学長(植木朝子同志社大学長はビデオメッセージ)にとって、新型コロナ対応は大きな経験だ。東京外国語大学の林佳世子学長は「価値観が多様な大学は、どのようにして方向付けをするか難しい。『学びを止めない』ため、構成員が心を一つにして動いたのは成功体験だ」と説明する。学生数3万人超の東洋大学を率いる矢口悦子学長は「支援の給付金振り込みなど、ミッションごとに教職員が集まり実施して解散した。これは全学の計画や制度の策定にも生かせる」と自信を高めた。

構成員を支える“サーバント型リーダーシップ”が得意なトップもいる。恵泉女学園大学の大日向雅美学長は「人口減少時代は一人ひとりが輝けるように導く“分かち合いのリーダー”が重要だ」と強調。「『俺に付いてこい』ではなく意識を共有すること。納得する基準を示し、大変なメンバーに敬意を示し、協力を求める」(小原奈津子昭和女子大学長)姿勢も示された。

また女性育成では中間リーダー層を厚くする必要もある。佐々木泰子お茶の水女子大学長は「女性を意識しないですむのが女子大のよさ。私も少し年上の女性研究者から刺激を受けた」と披露。東京家政学院大学の鷹野景子学長は「グループの一員やサブリーダーなど、立ち位置に合った振る舞いがリーダーシップにつながる」と若い世代を励ました。

日刊工業新聞 2023年02月16日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
日本の大学長800人弱のうち、女性は14%と聞いて、「そんなにいるのか」というのが正直な感想だ。となると、まさにモデルは多様。シンポジウムの登壇女性学長でも、女子大やキリスト教系といった大学の特色に沿った、別の考え方を持つことを実感した。女性は少数派であっても、社会で目に触れるモデルの幅は決して狭くない。若い世代にはそれぞれ自分にあった憧れを、発展させていってほしい。

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