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ガス接続機器のトップメーカー ―国内シェア4割のニッチトップ企業

理系・語学系×企業ジョブマッチング/光陽産業
記者の目/ここに注目
□コロナ禍も影響微小、安定した経営基盤
□年間休日127日! 社員教育も充実

創業96年、大手ガス会社が顧客

代表取締役社長 大山 健二郎さん
 光陽産業は、室内でガスストーブやガス調理器具を使うための「ガスコンセント」や、ガス配管と給湯器やガスコンロをつなぐ「機器接続ガス栓」など家庭用ガス関連機器のトップメーカーだ。国内4割以上のシェアを持つ。

ガス関連機器は一般家庭に使用される生活インフラであり、自動車部品や機械部品と比べ需要の変動の影響は少ない。実際、コロナ前である2019年6月期の売上高が71億円だったのに対し、2022年6月期の売上高は76億円と5億円増となった。全国のガス会社やガス関連会社を取引先に持っていることもあり、安定した収益基盤を誇っている。

同社のシェアや収益力の源泉となっているのが、創立96年の歴史で培われた高い技術力だ。家庭と直接繋がる同社の製品は重要保安部品であり、高い安全性と信頼性が求められる。発注元の厳しい要求に応え続けてきた経験が、技術力として社内に蓄積されている。知見を活かして検査機や組立機も自作しており、その外販も重要な収益源になっている。

ガス接続機器は非常に長い歴史を持つ商品であり、あえて言えば、昔から変わらない商品にも思える。しかし、大山健二郎社長は「実は目立たない改良の積み重ねがある」と語る。労働人口の減少によりガス会社も人員体制が縮小しており、点検や施工が簡単にできるように製品の改良が求められている。同社は複数部品を組み合わせたユニット製品の開発や新事業の創出、工場の効率化を目的に、理系人材の採用を強化している。

国内トップシェアを誇るガスコンセント

家賃1万円の社宅、 社内レクリエーションも充実

理系人材の採用において、同社が重要視する要素は何か。大山社長は「機械工学を学んだ人材やコンピュータープログラミングを学んだ人材は大歓迎」と語る。人柄としては、重要保安部品を扱う会社の特性だろう「お客様の要望やスケジュールを守るため、責任感を持って仕事する人にきてもらいたい」と大山社長。仕事のやりがいについては「当社は一人ひとりの社員が任される裁量が大きい。製品の複数工程を手がけることもあり『これを自分が作った』という達成感は強い」と語る。

安定した収益基盤により社員への福利厚生も手厚く、家賃1万円からの社宅があるほか、東京と新潟の間で転勤になったときの家賃補助もある。「当社は住宅用のガス機器を作っているので、社員が住宅を買ってくれれば自分たちの仕事も増える。社宅で家賃を浮かしてもらい、将来自宅を買って欲しいとの思いから充実した制度を作った」と大山社長は微笑む。

バーベキューやボーリング、流しそうめんなど社内イベントも活発だ。50年以上前から毎年社内募金活動をするなど、社会貢献にも力を入れている。

光陽産業の将来について、大山社長は「現在70億円代の売上高を100億円に引き上げ、中小企業から中堅企業に成長したい」とビジョンを描く。高シェアを誇るガス関連機材では、ガスコンセントや機器接続ガス栓からつながる他の部品にも事業領域を拡大。水道関連機材や医療関連部品など、新分野の製品も育成していく方針だ。ニッチな分野でシェアを獲得するニッチトップ戦略を進めつつ、売上高100億円にふさわしい組織作りを進める。「機械にできることは省人化を進めるが、人にしかできない仕事は多い、今後もコンスタントに理系人材を増やしていきたい」(大山社長)

4年後の100周年を見据え、新たなる挑戦を始めた光陽産業。同社への入社はチャンスしかない。

工場内は明るい雰囲気
社内レクリエーションも充実

理系出身の若手社員に聞く
会社が研修費用を負担

機器事業部 係長 小竹 善之さん (2010年入社)
 生活に密着するモノを作りたいと考え、入社しました。現在は医療関連部品の開発、新幹線のエアー用バルブや中国市場向けのガス栓の設計開発を担当しています。新規分野を開拓する部署におり、予想もしないような分野の仕事が来ることがあります。知識ゼロで開発を始めるのは難しいですが、成し遂げた時には達成感があります。

当社の特徴は社内教育がしっかりしていることです。入社後の集合研修から工場の実習、部署ごとの研修など複数用意されており、機械分野の勉強をしてこなかった人でもしっかり学べるようになっています。 またCADや特許関連など仕事に関係する知識を取得する際に会社が研修費用を負担してくれるのはありがたいです。年間休日が127日と多く、プライベートも充実させやすいと思います。

会社DATA
所在地 東京都品川区豊町4-20-14
設立 1939年7月23日(創立は1926年6月15日)
代表者 代表取締役会長 大山 忠一
代表取締役社長 大山 健二郎
資本金 3億円
従業員数 348人
事業内容 都市ガス・LPG用ガス栓・バルブ・継手・接続具、その他関連部材の開発・製造・販売、車両用バルブ、一般産業用バルブ、止水栓・水栓器具、その他関連部材の開発・製造・販売、省力化システム・省力化機器の開発・設計・製造・販売、精密加工部品、OA機器、環境機器、半導体関連機器の開発・設計・製造・販売
URL https://www.koyosangyo.co.jp/

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2024年卒の理工系および外国語系学生必見!上場企業から中堅・中小企業まで独自の技術や製品・サービスを持つ優良企業を、日刊工業新聞記者が各企業の特長や将来性、業界での優位性、働き甲斐などについて第三者の視点で紹介します。

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