長年培った技術と経験を未来につなぐオンリーワン企業集団へ―グループ会社の相乗効果で安全安心な社会構築に貢献
記者の目/ここに注目
□75年間蓄積してきたノウハウをベースに新技術にも積極的に挑戦
□職種も製品も多彩なためさまざまな仕事にチャレンジ可能
「素形材」「土木建築機材」「産業機械」の3事業を柱とする川金ホールディングスグループ。専門技術ごとに14社に分かれ、拠点は北海道から沖縄まで、さらに米国やアジア地域などグローバルに広がる。
川金グループの「素形材事業」とは、鋳造品製造や加工、金属素材に熱を加えて形状に仕上げられる部材のこと指し、モノづくりの原点となるものだ。砂型鋳造、精密鋳造、圧延加工などにおいて高度な技術力を75年間育んできた川金グループは、現在も付加価値の高い素材や形状に挑戦している。
「土木建築機材事業」では、60年以上前から橋梁用支承(橋桁と橋脚との間に設置される重要部材)の開発を手がけ、その当時から業界トップメーカーに。その過程で培われた免震・制振技術は、高速道路の大型橋梁、病院や学校、高層ビルなどにも採用され、社会の安全安心を支えている。

「産業機械事業」としては、建設機械などに使われる油圧シリンダや免震制振用油圧ダンパー、ゴム用射出成形機などの設計・開発・製造を行っている。
「我々の製品は構造物や自動車、工作機械などに組み込まれているため、普段目にすることがなく、イメージしにくいと思います。しかしそれらは社会生活を支える、なくてはならないもの。“高品位なテクノロジーを提供し、安全で安心できる快適な生活・社会基盤づくりを提供する”というグループ理念の通り、縁の下の力持ちとして誇りを持って活動しています」と鈴木信吉社長は胸を張る。
キーワードは「THE ANSWER」
加えて進取の精神と提案力、幅広い製品群を持つことも強みである。代表例が免震装置だ。同社が元々製造していたのは鋳鋼製だったが、阪神淡路大震災を機に需要が高まったゴム製のデバイス製造にも着手している。
「そもそも素材がまったく異なるので数年間の開発期間を要しました。それぞれ根本的な技術が違うため、当社のように鋳物製、ゴム製、さらには油圧によるデバイスまで1社で作っている会社は他にはありません。だからこそ、お客様のニーズに合わせてさまざまな製品をご提供できるのです」(鈴木社長)
長年蓄積されてきた技術と新技術を融合させ、ユーザーニーズに応えるチャレンジングな姿勢が川金スピリットといえそうだ。免制震装置を作るグループ会社「川金コアテック」では、2022年7月に新ブランドビジョン「THE ANSWER~未来を支える、確かな答えを。」を制定した。
「どのような装置がふさわしいのかという分析から設計、品質と施工性を兼ね備えた製品、安全維持に不可欠なメンテンナンスや診断に至るまで、あらゆるお悩みに応えていこう、という思いを表しています。今後は「THE ANSWER」というキーワードを、グループ全体にも浸透させていきたいと思っています」(鈴木社長)
グループ間で見学会や勉強会も
新入社員研修は、最初の1週間グループ合同で実施し、その後は各社の状況に合わせた教育を行う。営業、設計、生産(工場)の各部門を3カ月ずつ回る会社もある。特徴的なのは、グループ内で技術交流会や見学会などを開催していることだ。複数社で行う共同プロジェクトがあったり、グループ会社への異動希望も申請できたりするなど、グループメリットが活かされている。
卒採用では半数が理系出身のエンジニアで、機械設計、構造力学などを専攻してきた学生は特に活躍できそうだが、「化学や電子などを学んできた人たちもいます。理系文系問わず、むしろ学んできたことをベースにしながら、新しいことを創発してチャレンジしてくれることを期待しています」と鈴木社長は専門には固執しない。
今後は、セールスエンジニアリング、つまりモノではなく技術・サービス(メンテナンス技術など)のセールスに注力する予定なので、技術スキルだけでなく、吸収力豊かで好奇心旺盛な人材を求めている。
「すでに老朽化した建造物のメンテナンスが社会課題となっており、我々の役割もますます大きくなっていくでしょう。当グループでは、連帯・成長・感謝・挑戦・誠実の5つのコアバリューを定めています。この共通の価値観の元、皆が生き生きと働き、社会の安全安心を支え続けていきたいと思っています」


理系出身の若手社員に聞く
人的・技術的交流が盛んでアクティブな会社

中国の大学を卒業後、日本の大学院で土木工学を専攻し、データ活用の研究をしていました。研究室で当社との接点ができ、教授の勧めがあったほか、事業内容に惹かれて入社を決定。現在、ビッグデータの処理やAIを駆使して、製品の劣化状況を診断するシステムを開発・運用しています。学びが活かされ、ビジネス成長の余地もあり、社会にも貢献できる業務ですごくやりがいがあります。伝統ある製造業でありながら、他社や大学との共同研究も活発。最新技術を積極的に取り入れるなど、とてもアクティブな会社です。
会社DATA
所在地 埼玉県川口市川口2-2-7
設立 2008年10月1日
代表者 代表取締役社長 鈴木 信吉
資本金 5億円
従業員数 1985人
事業内容 素形材事業、土木建築機材事業、産業機械事業、不動産賃貸事業
URL http://www.kawakinhd.co.jp/