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グーグルが自動運転車でワイヤレス給電の実験中と専門誌報道

米2社の技術利用、バッテリー充電作業も自動化へ
グーグルが自動運転車でワイヤレス給電の実験中と専門誌報道

ワイヤレス給電の実験を行っているとされるグーグルの自動運転車

 米グーグルの親会社のアルファベットが、開発中の電動式自動運転車についてワイヤレス給電の実験を行っていると技術専門誌のIEEEスペクトラムが報道した。米国のスタートアップ2社によるワイヤレス給電システムを導入しているという。ワイヤレス給電を使えば地上の充電パッドの上に停車するだけでバッテリーを充電でき、わざわざ電気プラグをクルマに接続する手間がいらない。完全自動運転車を想定した場合、バッテリー充電まで自動化できるため、乗車しているのが高齢者や子ども、障がい者などの場合、とくに利点が大きいとみられる。

 グーグルにワイヤレス給電システムを提供したのは、ニューヨーク市に本社を置くヒーボ・パワー(HEVO Power)と、ペンシルベニア州フィラデルフィア近郊にあるモーメンタム・ダイナミクス(Momentum Dynamics)の2社。カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル本社や同じ州内の走行試験場などに試験システムを設置済みという。両社はこの件について、2015年に米連邦通信委員会(FCC)から承認を得ており、IEEEスペクトラムはFCCの書類をもとに報じた。

 2社のシステムとも、電気エネルギーの伝送原理に磁気共鳴を利用している。クルマが地面の充電パッドに近づいてその上に停車すると、パッドに組み込まれた発信器から周期的に振動する磁界を発信。電動車の下部に取り付けられた受信器の回路が、その周波数に共鳴するように作られていて、回路に電流が流れ、バッテリーを充電する。出力はヒーボのものが1.5kwまで、モーメンタムが最大200kwまで対応できるとしているが、グーグルが何kwのものを試験しているかは明らかにされていない。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
離れた位置でのワイヤレス給電をめぐっては、アップルが2017年にもiPhone/iPadで採用かと先日ブルームバーグが報じましたが、一方でKDDIも資本提携した米オシア(Ossia)と、家庭やオフィス内の機器に同時給電できる「Cota (コータ)」という技術を共同開発中とか。これに対し、自動車はパワーがケタ違いのため、電子機器や人体に悪影響がないよう、電磁シールドなどの工夫も求められますが、うまくいけば電気自動車の普及を後押しする技術になるかもしれません。

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