ニュースイッチ

新規事業の創出は社内の意識改革から、事業構想大学院大学が始める新たな応援法

事業構想大学院大学の事業構想研究所は、社内イノベーションの風土を醸成して新事業創出を導く「事業構想風土醸成プロジェクト研究」を2023年1月に始める。経営企画、新規事業、人事部門の社員らが研究員になる。社内風土を変える計画書策定、経営トップへのプレゼンテーション実施を目指す。全10回の研究会で、他社の研究員との議論も刺激となりそうだ。

新たなプロジェクト研究会ではまず、自社の理想の姿を再定義する。新事業創出の基盤となる人材像を策定、インナーマーケティング手法により対象者を後押しする施策を手がける。次いで事業構想力やアイデアの質量の向上、評価の仕組みを構築。さらに挑戦者に伴走したり、社内外を巻き込んだりして実装する体制を整備する。

同大東京校とオンラインで実施する。1―3月で全10回、さらに個別と交流のセッション各2回がある。

定員は7社。1社3人まで参加可能だ。社内の活動において、複数人の共通認識・言語を得られるのも魅力となりそうだ。説明会を20日と11月24日にオンラインで開く。

新事業創出を掲げる企業は多いものの、社内の意識改革段階から課題があることが多い。これまで既存事業が中心で挑戦意識が育っていない、新事業創出の進め方が分からない、提案の質量が不足しているなどだ。また既存事業が忙しく各部門の協力が得られない、審査や評価の基準転換が必要、他社連携の経験がない、といった声も聞かれるという。

日刊工業新聞 2022年10月06日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
「新事業創出を!」と多くの企業が口にするが、組織力を強みとしてきた日本の伝統的な一流企業ほど、それは難しい。「新規事業担当を拝命したけれど一体、どうやって進めるの?」と惑う企業を、事業構想大学院大が応援する。一般に専門職大学院は、社会人対象といっても個人で参加の学生が多い。その中で同大は、企業組織のビジネス後押しという点で飛び抜けている。今回の取り組みは、学内の研究所を中心とした「研修・コンサルティング事業」に近い。法人で出版する雑誌もビジネス誌と遜色がない。一般の大学とはかなり違う存在となっている。

編集部のおすすめ