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VRの第一人者を引き抜いたアップル、今度は自動車プロジェクトリーダーが退社へ

3Dユーザーインターフェースの自動車応用も想定か
VRの第一人者を引き抜いたアップル、今度は自動車プロジェクトリーダーが退社へ

Doug Bowman氏(バージニアテックのサイトから)とSteve Zadesky氏(LinkedInから)


2019年という野心的なEV開発目標がプレッシャーに?


 一方、関係者の話としてWSJで退社が報道されたのは、同社に16年勤めているスティーブ・ザデスキー氏。「プロジェクト・タイタン」と呼ばれるアップルのEVプロジェクトのリーダーで、もともとはフォード・モーターのエンジニア。1999年にアップルに移ってからはiPodやiPhone関連を手がけ、2014年から自動車プロジェクトのリーダーを任されていた。

 ただ、正式な退社時期は不明。理由についても「個人的なもの」とされているが、その背景には自動車開発でのプレッシャーがあったのではないかとの観測もある。

 これまでの報道で、アップルは、2019年までにEVのエンジニアリング作業の完了を目指していると伝えられている。実際の製品出荷はその数年後になるとみられるが、WSJによれば、経営陣が野心的すぎる目標を掲げる一方で、現場はさまざまな問題に直面し、チームメンバーの何人かが目標達成は難しいと感じていたという。

 さらに、ザデスキー氏は昨年9月の段階で約600人にまで膨らんだ自動車チームの人員規模を、3倍にする計画も任されていた。アップルは自動車のエンジニアはじめ、バッテリーや自動運転車の専門家の引き抜きを進めていて、特に社員を奪われたテスラモーターズとは一時険悪な関係に陥っている。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
アップルは中国、イスラエル、英国ケンブリッジ、横浜などに研究開発拠点を設置済みあるいは設置を計画し、グローバルでの研究開発活動を加速している。今週に入り、カナダ・オタワ郊外へのR&Dセンターの進出計画が表面化したが、近くにBlackBerry子会社で自動車ソフトを手がけるQNXソフトウエア・システムズがあることから、アップルの自動車ソフトの開発拠点ではとの憶測まで飛び交った。いずれにしても、国籍に限らず、優秀な人材の採用が将来に向けた技術開発の鍵となるのは間違いない。

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