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動脈硬化撃退!10時間程度拘束、10回前後採血をなくす脂質測定器

地方創生を支える!注目のベンチャー企業 #4 メディカルフォトニクス
動脈硬化撃退!10時間程度拘束、10回前後採血をなくす脂質測定器

飯永一也社長


置き換えではなく、今までにない新たな検査


 飯永社長が採血を必要としない血中脂質測定器の構想を抱いたのは5年前。東京で勤務しながら有休を使って北海道へ足を運び、北海道大学の教授らに相談しながら、ときには大学の研究室に寝袋を持ち込みながら技術的な土台を築いていった。兵庫で建築業を営む父の背中を見て育った飯永社長。「技術を自分の手で事業化してみたい」と、35歳で東京農工大学大学院に入学、MOT(技術経営)を取得した。修了後は、勤めていた企業を退社し、北海道大学大学院博士課程兼研究員として測定器の研究を本格的に開始した。

 北海道大学の清水孝一教授の長年にわたる光学研究のノウハウに着想を得て、共同での開発を開始した。家庭用の機器は低コストで、身体への負担が少ないことが不可欠だった。そこで、生体外から光を照射し、出てきた光を分析するという手法を採用した。
 
 しかしながら生体にレーザーを照射しても、最初はどの成分で光が変動したのか分からなかった。装置自体の開発と並行し、データの集積に集中的に研究時間を費やした。血中の中性脂肪を数値化する今までになかったデータ解析のアルゴリズムは、学内や医療関係のイベントや掲示板で被検者ボランティアをかき集める地道な作業が導き出した。従来の機器をヒントに、今までになかった測定器を生み出す中で、はじめは懐疑的だった周囲が変わっていく面白さが研究を加速させた。

医療サービス事業も視野に


 「スマホと連動させながら健康管理をする医療サービスを作りたい」と飯永社長。研究者用の機器として販売をスタートした後、医療機器へステップアップする予定だ。医療機器の許可申請を持っていなければ、販売することができても、製品のプロモーションができない。測定したデータをどのように活用するのか、どのように解釈するのか、医療知識がなければ使いこなすことができない。今年度中に製品開発を進め、17年度半ばに医療機器市場でのお披露目を目指す。

 また「今後の課題は、ヒト」。検査薬のバイオ系企業の出身のため、測定機器のデザインやデータの用途開発に知識のある人材を探している。関西生まれで、学生時代を大阪で過ごし、新潟、仙台、東京に転勤した飯永社長が札幌での起業を決めたのは、北大ビジネス・スプリングによる充実したサポートがあったからだ。北大の研究員であった昨年2月に同施設の施策説明会に参加し、6月に入居した。北大のキャンパス内という立地からインターン生の受け入れや、施設主催の展示会や補助金制度を活用し課題克服に取り組んでいる。

会社概要
メディカルフォトニクス株式会社
所在地  〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西12丁目2  北大ビジネス・スプリング310
設立  2015年2月18日
事業内容 医療機器の研究、開発、製造、販売
http://www.med-photonics.com/

北大ビジネス・スプリング(北海道大学連携型起業家育成施設)のサイト
http://www.smrj.go.jp/incubation/ho-bis/
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日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
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