「縦型」から「横型」へ、ポストコロナで旧型組織は変われるか

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新型コロナウイルス感染症の前後で、物事の進め方やコミュニケーションは縦型から横型へシフトし、集団より個々の在り方が問われるようになる。デジタル変革(DX)がその転換のドライビングフォースになる―。技術同友会(東京都千代田区)はこんな報告書をまとめた。大企業の元技術系役員らが会員の同会だけに、旧型組織の変容を促す内容が注目されそうだ。(編集委員・山本佳世子)

新型コロナ前後の社会と技術についての調査委員会は、二十数人の委員が多方面の有識者ヒアリングを約10回、実施して経済・企業や社会の視点から分析。ビジネス、教育などの分野で検証し、次のようにまとめた。

ビジネスにおいて伝統的な大企業は階層型で、上位職の指揮命令に従って下位職が働く縦割り型だ。それがコロナ禍でテレワークが急浸透する一方、コミュニケーションや管理、評価のしづらさなど問題が噴出した。

しかし解決を模索する中から、ITテクノロジーを活用し、個人が組織内外で横につながるネットワークで活動する、新たなスタイルが浮かび上がってきた。変化の激しい時代に適した柔軟性やスピード感もある。

この「階層型組織から自立分散型組織へ」の転換は、雇用の「メンバーシップ型からジョブ型へ」のシフトに重なる。

個の認識の高まりは、ボランティアや地域コミュニティー、学び直しなど、従来は欠けていた部分に目を向けさせる。デジタル技術によるDXがこれを後押しする。

また教育は、教室での講義で画一だったが、新型コロナでテクノロジーを活用。個別の理解度や環境に合わせて最適化された学びが可能になりつつある。

報告書ではコロナ後の社会変容を支える規制緩和や人材育成の必要性も挙げた。

内永ゆか子委員長(J―Win会長理事)は、「内向きで保守的な日本に変革を起こすには、外圧や新型コロナのようなきっかけがいる。個を確立する、日本のラストチャンスかもしれない」と強調している。

日刊工業新聞2022年7月12日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

伝統的な組織による縦型社会は、育児や家事をしないですむ仕事一筋の男性がマジョリティーの時代には適していたが、マイノリティーがそれぞれの個性を発揮する多様性時代は横型社会がふさわしい。近年、出現しつつあった変化のきざしが、新型コロナによって多くの人が実感するものとなり、ワークもライフも動かす次元に入ってきている。私自身も感じていたがそのことを、大企業・理系・エクゼクティブのシニアがメンバーの技術同友会の報告書で出てきたことに注目したい。委員長が、早い時期に日本IBM専務、ベルリッツコーポレーションなどのトップを務めた内永ゆか子氏だったのが効いたに違いない。多くの人にとって、自身が育った組織や社会を批判することは難しい。昨今はマイノリティーがアグレッシブに変革を迫る機会が増えているが、感情的になじめないシニアもいるだろう。そのため大企業や大規模大学などでは、内永さんのような「マジョリティーと一緒にやってきて、その気持ちをある程度、理解しつつ、問題点を指摘できるマイノリティー」の発信力こそが、社会をスムーズに変えていけるのではないかと感じている。

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