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学生たちのユニークなロボットが活躍!農林水産業ロボットコンテスト

2015国際ロボット展・農林水産業ロボットコンテストリポート
学生たちのユニークなロボットが活躍!農林水産業ロボットコンテスト

北海道美唄尚栄高校 コンバージョンEVトラクター


北海道美唄尚栄高校 コンバージョンEVトラクター


 ビニールハウスなど密閉された空間でも作業できるよう、ガソリンエンジンのトラクターを排ガスの出ない電気駆動へコンバージョン(転換)した。本体に蓄電池8個を搭載しモーターで動く。家庭用のコンセントから簡単に充電が可能。
併せて、自動運転の機能も実現。ハウスの内壁や構造材(鉄のパイプ)をセンサーが把握して、手を離しても自動でハンドル操作し畝の中を円滑に直進する。
 農作業中の事故の中で多発するトラクターの事故に目を向けた。赤外線センサーで前方障害物を検出して自動停止する安全装置も搭載。安全機能を高めつつ、ビニールハウス内の作業負担を機械化により軽減。農業従事者の高齢化対策に加え、コンバージョンという低コストの方法で農作業の安全性向上、効率化にも貢献できる。


東京農工大学 パーソナル・モビリティ・デバイス KAGO(駕籠)


 収穫作業など農作業に多い中腰姿勢での負担を軽減するために作られた、クローラー(無限軌道)型1人乗りモビリティー。作業者が座ったまま移動して、中腰姿勢の位置を保ったままでいろいろな作業を行える。クローラー式なので農場の土や砂利、凹凸などを苦にせず移動できる。
 収穫作業を容易にするため、シートを左右90度ずつ回転でき、シート位置の調整もできる。シート左手にはLEDライトを備え、夜間早朝の作業に対応した。収穫物の大きさを選別できるケースも備える。
 開発メンバーによると、農業に携わる高齢者が最もつらい作業は何か考えた結果、中腰姿勢での作業の負担をなくすことをテーマにしたという。
 操作はジョイスティックでおこなう。気温や搭乗者の脈拍を計測しデータ転送することも可能。3人のメンバー、約4カ月と短い製作期間の中で仕上げた。


名古屋工業大学 種まきロボ IKEBA(イケバ)


 祖父がタマネギを栽培しているという開発メンバーがおり、祖父から「種まき作業が大変なので種まきロボットを作って」と言われたことが開発の発端。クローラー式で畝(うね)の上を自動走行しつつ、タマネギの種をまく。隣の畝にも自動で移る。
 畝から落ちないよう、機体前方に取り付けたカメラが畝の形を検知し位置を制御する。形の定まらない形状認識の技術確立には苦労したという。
 タマネギの種まきは手作業で腰をかがめて長時間続ける重労働。まずはこの負担を軽減していき、「今後は、畝の走行技術を水やりや収穫などに応用できれば」と技術応用の可能性を探っていく。
 IKEBA(イケバ)という名前は開発メンバーの友人から取った。


【協議会 加藤百合子会長コメント】
 日本では、稲作の機械化が進んだ一方、ビニールハウスなどの施設園芸や畑作ではいまだに人手による作業が主です。農場従事者の高齢化と減少が進む中、高齢者の作業負担を軽減すること、そして生産効率を高めて少人数でも作業できるようにすることが、日本の今後の農業には不可欠です。農業ロボットの開発と普及は、重要な課題解決策として期待されています。
 農業用ロボットは全国の大学や研究所で研究開発が進んでいます。ですが、工業側である産業用ロボットメーカーはこれまで農業分野への関心が薄かったのが実情です。農業と工業は同じ製造業であり相性が良いはず。農業の課題解決に工業の知見やノウハウが役立てば、次世代の農業へのイノベーションが起こると期待されます。協議会はその技術革新を起こすべく、農業と工業の交流を深める各種取り組みを実施しています。農業ロボコンもその一環です。
 農業ロボコンでは、学生たちが自らの目で地域の農業課題を見つけ出して、その課題を解決するロボットを開発したことに大きな意義があります。高校生の作品を見ても、優れたアイデアが低予算で形になっていて感心しました。協議会としても、この取り組みを継続することで、地域活性化につながるムーブメントにしていきたいと思います。
(文=石橋弘彰)

地方創生農林水産業ロボット推進協議会
連絡先 〒439-0006 静岡県菊川市堀之内110-1 株式会社エムスクエア・ラボ(協議会会長)
電話:0537-28-7721 メール:cr-office@m2-labo.jp
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昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
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