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JR東海が国内初導入、荒天時のブレーキ性能を試験できる新幹線向け装置の全容

JR東海が国内初導入、荒天時のブレーキ性能を試験できる新幹線向け装置の全容

台車のブレーキ試験装置では雪が付着した状態の再現も可能だ

JR東海は、雨や雪が降る環境を模して新幹線のブレーキ試験ができる装置を小牧研究施設(愛知県小牧市)に導入した。新幹線に対する同種の試験装置導入は国内初。寒冷な雨や豪雪地帯などの多様な気象条件の下で、地震発生時にかけるブレーキで止まる距離を短くする。投資額は28億円。3月に本格稼働を始めており、得られた成果は順次営業車両に反映する。

2種類の装置を導入した。レールに接触する車輪がブレーキ力を伝える「粘着」の試験では、回転する車輪に水や雪を噴射して最適な制御方法や部品を探る。得られた成果を台車に組み込んで試験する装置では、レールを模した直径1・5メートルの円盤の上で車輪を回して性能を検証。同装置はマイナス5度Cの寒冷な環境をつくれるため、台車に雪が付着する状態も再現できる。

従来は営業車両から得たデータで改良を繰り返してきた。東海道新幹線の「N700S」では時速285キロメートルの状態でブレーキをかけると、2800メートル先で停止できる。

日刊工業新聞2022年6月17日

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