「ペッパー」がCESで世界デビュー、IBM「ワトソン」と協力しさらに賢く

IoTでの収集データも反映、ペッパー通じてコグニティブ機能提供

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ロメッティCEO(左)の基調講演に登場したペッパー(基調講演の動画から)
 ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「ペッパー」がIBM「ワトソン」の力を借りて、さらに賢くなりそうだ。ソフトバンクロボティクスと米IBMが両社で協力してペッパー向けのワトソンを開発し、世界中の企業に提供すると、米ラスベガスで開催中のCES 2016で発表した。

 IoT(モノのインターネット)で集められたさまざまなデータや知識もペッパーで活用できるようにするという。ユーザーはペッパーとのやりとりを通して、幅広い分野でワトソンのコグニティブ・コンピューティングの機能を体験できるようになるとしている。ただ、提供開始時期がいつになるかは明らかにしていない。

 コグニティブ・コンピューティングとは、学習能力やデータ処理能力を備えたコンピューターシステムが、経験や成果から学習し、知識を蓄えながら、ユーザーが必要とする情報を与えられるシステムのこと。

 IBMのジニー・ロメッティCEOが今回のCESの開幕日となる6日に基調講演を行い、その最後にペッパーが手を振りながら登場。来場者の喝采を浴びた。

 ペッパーは最初は日本語であいさつしたものの、ソフトバンクロボティクスの吉田健一事業推進本部長に「Hi, Pepper」と英語で話しかけられると、流暢な英語を披露。自身の特徴と、日本の銀行や店舗、ホテルなどで活躍し、個人の家庭向けにも販売されていることなどを紹介した。ペッパーによれば、現在、毎秒8億ページのペースでデータを採り入れられるワトソンの機能を使って学習を積み、人間や自然言語についての理解を深めているという。

 ロメッティCEOは、ペッパー向けのワトソンが提供されることで、「ユーザーはIoT、ロボット、それにAI(人工知能)をまとめて使える機会を得られるようになる」と説明。ソフトバンクロボティクスの吉田氏も、「IT産業の今後30年を見渡すと、IoTとAI、ロボットがビジネスの中心になる」と、同社がロボットを手がけるようになった経緯を話し、次世代のITビジネスをめぐって両社の方向性が一致していることを強調してみせた。

 さらに、吉田氏は「すでにテクノロジーは揃っていて、今こそ実行に移す段階にある。多くの顧客やパートナーがこうした未来に向けた取り組みに参加でき、その多くの使用例やアプリケーションからイノベーションが生まれる。そして、それぞれの分野でいったんキラーアプリケーションが生まれれば、ペッパー・ワトソンによる技術プラットフォームがどんどん広がっていく。こうしたことは、もはやSFではなくなると信じている。(スター・ウォーズに出てくるロボットの)C-3POやR2-D2が現実のものとなるかもしれない」とも話し、両者の連携に期待を示した。

 IBMは今回、ソフトバンクロボティクス以外にも、スポーツ用品のアンダーアーマー、医療機器のメドトロニクス、家電のワールプールとそれぞれ、ワトソンのコグニティブ機能を活用する提携戦略を明らかにした。

 IBMはパソコンやストレージ、汎用サーバー、半導体といったハードウェア事業の売却を次々に進めている。こうしたことから、ロメッティCEOも「多くの人はIBMをハードウエアとソフトウエアによるサービス会社と位置づけている。確かに今はそうだ」としながらも、「そうした業態をずっと続けていくわけではない。現在ではクラウドプラットフォームのコグニティブ・ソリューションズ企業になりつつある」と変化するIBMの姿をアピールした。

【CESでのロメッティCEOの基調講演】
(47:20~ソフトバンクロボティクスの紹介、54:20~ペッパー登場)




ニュースイッチオリジナル

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会
委員長

コグニティブ・コンピューティングを中心に、ロメッティCEOのいう「再発明されたIBM」がどう現実のものになっていくか、非常に興味深いところ。それにはペッパーを含めたパートナーの果たす役割もかなり大きい。

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