「eスポーツ」がキャリアを広げる、日大・近畿大が施設開設

  • 1
  • 1
スタジオのお披露目で5対5のシューティング競技を実施

複数のプレーヤーでコンピューターゲームの対戦をし、勝負を決めるeスポーツ。学生らの人気を受けて今春、東は日本大学、西は近畿大学でeスポーツ施設がオープンした。教員など年長者は、遊びの側面や依存症など負の面を懸念するが、若者の反応は上々のようだ。

身体性を伴わないのにスポーツと称するのは戦略立案やチームワーク、コミュニケーション、さらにはメンタルを含めたトレーニングが必要で、リアルのスポーツと類似点が多いためだ。プレーの現場や配信先会場に観客が集まり、応援するスタイルも通常の運動競技と重なる。

大学はeスポーツ施設をサークルなどの課外活動や、正課のプロジェクト演習を含むイベント企画などで、活用することを想定する。サイバーとフィジカルの空間を行き来して、ソサエティー5・0時代の若者の象徴ともいえそうだ。

一方、大学の学びと重なる部分を日大の生産工学部数理情報工学科でみると、ウェブデザインやCG(コンピューターグラフィックス)、アニメーションなどメディア関連の科目と関係がある。ゲームそのものも近年は教育訓練や、リハビリテーション・作業療法など医療・福祉分野での応用が広がっている。ゲーム制作に踏み込むならソフトウエアや仮想現実(VR)技術も重要だ。

となると学生の入り口は遊びでも、出口は多様なキャリアに広がりそうだ。ITデザイナーやエンジニア、ゲームビジネスのマネージャーなど思い浮かぶ。いずれも専門職ゆえ、eスポーツによってコミュニケーション力が強化される点は歓迎だ。ゲームやスポーツが苦手な人や、異分野との融合の展開にも期待したい。

出典:日刊工業新聞2022年5月2日

日大、eスポーツスタジオ開設 教育と相乗効果狙う

出典:日刊工業新聞2022年4月21日

日本大学生産工学部数理情報工学科は「eスポーツスタジオ」を開設した。ゲーミングパソコン11台と音響・配信設備、観戦席など用意した。学生によるeスポーツのサークル活動やイベント企画のほか、メディアデザインやバーチャル空間構築などの教育・研究に活用していく。

日大の数理情報工学科にはメディアデザインコースがあり、ウェブデザインやCG(コンピューターグラフィックス)、アニメーション、ゲーム制作などの科目がある。eスポーツはコンピューターゲームを複数のプレーヤーで行う対戦型競技で、教育との相乗効果も狙えるという。

教室を改修したスタジオは約60平方メートルと小規模だが、5対5で行う競技を別空間に配信・中継できる。同学部建築工学科卒業生によるデザインで、積み上げ形の家具による観戦席は、学生の企画議論や競技の戦略立案時にも利用されそうだ。

同学科では、第5世代通信(5G)環境を整備した付属高校などとの連携プロジェクトを計画中。文化祭でのeスポーツイベントが候補だ。イベント開催はすでに演習授業で実施の経験がある。

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

趣味や嗜好のものは、好きな人とそうでない人と大きく分かれるのが普通だ。絵画や音楽、将棋やスポーツゲームなど、いずれもそうだ。しかし「当事者が個人で楽しむ」活動に制限するのではなく、「自分が手がけなくても、イベント感覚で複数人で出かけていって、そこに解説者などのサポート加わると、初心者でも楽しめる」ものになってくると、対象者も市場もぐっと大きくなる。ゲームがeスポーツに発展してくるということは、そんな可能性を秘めているのだな、と実際のプレーの現場を目にして感じた。

キーワード

関連する記事はこちら

特集

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのためにクッキー(Cookie)を使用しています。オプトアウトを含むクッキーの設定や使用の詳細についてはプライバシーポリシーページをご覧ください。

閉じる