「リアルセンス」と「キュリー」前面に、CES基調講演でクルザニッチCEO

「インテルどこでも入ってる」IoT戦略、スポーツ、ドローン、ロボットなどに展開

  • 0
  • 0
3Dカメラ技術「リアルセンス」が搭載されたドローンを手にするクルザニッチCEO(基調講演の動画から)
**3Dカメラ技術とIoTデバイスをアピール
 米ラスベガスで6日(米国時間)に開幕した世界最大の家電見本市「CES 2016」。一足早く5日夕方にはインテルのブライアン・クルザニッチCEOの基調講演が行われたが、パソコンやスマートフォンの話は一切なし。3Dカメラ技術の「リアルセンス(RealSense)」やボタンサイズのセンサーデバイス「キュリー(Curie)」を前面に打ち出し、スポーツ向けを中心に、ゲーム、エンターテインメント、産業、ロボット、ファッション、ホームオートメーションなどさまざまな分野での提携事例を次々に紹介した。すべてのモノがコンピューターやセンサーでつながり、情報をリアルタイムに可視化するIoT(モノのインターネット)時代を見据え、「インテルどこでも入ってる」とでもいうべき戦略を推し進めている。

自律的に木を避け、人を追跡するドローン


 とくに、「リアルセンス」を組み込み、提携企業が開発したハードウエア製品では、次世代ドローンとロボットが出色のできばえ。基調講演のデモでも、高いレベルの自律制御機能をアピールした。

 リアルセンスを搭載したドローンは、中国・ユニーク(Yuneec)が開発した「タイフーンH」。自転車で林のセットの間を走るバイカーについて、木をよけながら空から追跡し、4Kカメラで撮影した映像を送り続ける自律飛行のデモを見せた。目の前で木が倒れても、それを検知して空中で停止する。「コンシューマー向けで最も優れた衝突回避性能を持つ」(クルザニッチCEO)という。2000ドルを下回る価格で今年上半期に発売する。

セグウェイが自律ロボットに早変わり


 体重移動で操作できるセグウェイ型の電動立ち乗り2輪車にリアルセンスを内蔵したのは、中国・ナインボット。同社はスマートフォンで急成長する中国・シャオミ傘下の新興ロボット企業で、2015年には電動立ち乗り2輪車のパイオニアとして知られる米セグウェイを買収している。

 この電動2輪車が面白いのは、自律制御のパーソナルロボットに早変わりできること。2輪車を降り、ハンドルの中央部を押すと、アニメの顔を表示するディスプレーが現れ、音声による受け答え・操作が行える。「OK、セグウェイ、フォローミー」と呼びかければ、歩く人の後をずっと付いてくる。さらに、物体検知、顔認識といった機能を持ち、例えば自宅内で警報が鳴ると、自動的に現場に駆けつけ、持ち主にカメラで撮影した現場映像をストリーミング送信といった使い方ができるという。さまざまな周辺機器を接続できるようオープン仕様なのも特色で、デモでは両腕のロボットアームを中央の支柱にはめ込み、音声指示でそれを上下してみせた。2016年下半期に発売の予定という。

エクストリームスポーツで技の高さ、回転をリアルタイム表示


 一方、スポーツ関連では、バスケットボールなどのスポーツについて、360度どのアングルからでも即座にリプレーできる「フリーD」を、米リプレーテクノロジーズと共同開発中。

 また、米スポーツチャンネルのESPNとは、スノーボードはじめさまざまな種類のエクストリームスポーツを集めた競技大会「Xゲームズ」の放送で提携。ドローンやGoProのアクションカメラのほか、インテルのキュリーチップが採用され、例えば2月にコロラド州アスペンで開かれるスノーボード競技では、スノボにこのセンサーデバイスがつけられ、ジャンプの高さや回転、加速度(G)といったデータをリアルタイムでテレビ画面に表示する。同じくエクストリームスポーツの放送に力を入れるレッドブル・メディア・ハウスとも提携した。

 キュリーチップは小さいだけでなく、1個あたり10ドル未満という安さも売り物。スノボに加え、自転車競技のBMXや、空身でジャンプや宙返りを行うパフォーマンスなども含めて、放送のほかトレーニング、審判の判定、解説者のコメント、報道、医療向けのライフデータ収集といった用途に役立てられるという。

 メガネメーカーのオークリー(Oakley)とは、自転車やランニング向けのスマートメガネ「レーダーペース(Radarpace)」の共同開発に取り組む。グーグルグラスのように「OK、レーダー」とコンピューターに話しかけることによって、今どれくらいのペースで走っていて、これまでにはどれだけ走ったか、どれだけ高低差があるか、などのデータを音声で知ることができる。

 さらに、創業110年というスポーツシューズメーカーのニューバランスとは、ランナー向けのスマートウォッチを開発するという。クルザニッチCEOも当日履いていたが、顧客の足にぴったりフィットする3Dプリンター製のオーターメードランニングシューズも4月から事業展開する。

ARで作業を指示するスマートヘルメット


 産業用では米ダクリ(DAQRI)のスマートヘルメットが面白い。リアルセンスと「Core m7」プロセッサーを内蔵したAR(拡張現実)ヘルメットで、同日、出荷を開始した。例えば、プラントなどでの作業手順を実際の配管や部品に重ね合わせ、ヘルメット前部の透過型スクリーンに映し出す。熟練者でなくても作業手順が一目で分かる仕掛けだ。温度を色で可視化するサーモカメラ機能も備え、プラントの異常や危険を事前に知ることもできる。

 そのほか、音楽向けではキュリーを内蔵した腕時計のようなバンドを紹介。作曲家・歌手であり、映画『スラムドッグ$ミリオネア』の音楽を作曲したA.R.ラフマーンが登場し、空中で動かすと楽器の音が鳴るこのバンドを両手にはめ、演奏を披露した。




ニュースイッチオリジナル

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会

クルザニッチCEOの基調講演は1時間40分という長丁場。最後のキュリーバンドでの演奏を含め、「長すぎ」というのが正直なところ。これでもかというくらい提携事例を繰り出しながらも、インテルの技術によってこうした新しい製品やサービスが実現できるんですよ、と強くアピールしていた。IoTの覇権を目指し、またもや「インテル気合い入ってる」。

関連する記事はこちら

特集